企画書に使えそうな材料は揃っている。ChatGPTなどで案も出した。でも、「今回は何を提案するのか」が決まらない。
たとえば、新規顧客を増やすために「月1回のウェビナー(オンラインセミナー)を開催する」から考え始めたのに、手元の材料を見直すと「まず、すでにいる見込み客へのフォロー方法をそろえて小さく試す」へ企画が変わることがあります。変わるのは資料の見せ方ではなく、企画そのものです。
この記事で扱うのは、企画書の基本構成やテンプレートの埋め方ではありません。PowerPointやGoogle スライドで構成を作り始める前に、材料を見直して「何を提案するか」を決める工程です。
企画書を作る前に、企画そのものが変わることがある
冒頭の例を、もう少し具体的に見ます(架空の例です)。新規顧客を増やすための集客企画を任され、最初は「月1回のウェビナーを開催する」という案を考えていたとします。
ところが、手元の材料を並べてみると、次のようなことが分かりました。
- 資料ダウンロードや問い合わせで得た見込み客は、すでに一定数いる
- 見込み客へのフォロー時期や内容が担当者ごとに違う
- 商談につながらなかった理由を十分に振り返れていない
- ウェビナー開催後のフォローを誰がどう行うかは決まっていない

ここで問いが変わります。本当に足りないのは「新しい見込み客」なのか。それとも、すでにいる見込み客を商談につなげる工程なのか。
もし後者なら、最初にやるべきことはウェビナーを増やすことではないかもしれません。
たとえば、まず既存の見込み客へのフォロー方法をそろえて小さく試し、その結果を見てからウェビナー企画を再判断する、という案に変わります。
ここから先は、この変化がどんな手順で起きたのかを順に分解します。
まず「何を書くか」ではなく「何を決めてもらうか」を置く
最初に、企画書を読んだ相手に何を判断してほしいかを一文で置きます。
- 新しい施策を実施するか決めてほしい
- 小さな試行へ進むか判断してほしい
- A案とB案のどちらを試すか選んでほしい
- 次に確認すべきことを合意してほしい
この一文があると、「知ってほしい情報」と「今回の判断に必要な情報」を分けやすくなります。
材料は、事実・仮説・案のままいったん出す
次に、持っている材料を一か所に出します。この段階で、きれいな目次やストーリーにする必要はありません。
- 顧客や上司から聞いたこと
- 数値や確認済みの事実
- 現状の問題だと思っていること
- 自分の仮説
- AIから出た案や別案
- 制約条件や心配していること
- まだ確認できていないこと

ここで重要なのは、AIの案、確認済みの事実、自分の解釈を同じ確度で扱わないことです。AIとの壁打ちで良さそうな案が出ても、それは提案の候補です。
「最初の案」が、本当に問題に合っているか疑う
先ほどの例では、「新規顧客を増やしたい」から「ウェビナーを開催する」へ一気に進んでいました。
しかし材料を見ると、既存の見込み客が商談につながっていない可能性があります。そこで、「集客数が足りない」ことと「商談化しない」ことを分けて考える必要が出てきます。
原因の候補を枝分かれで洗い出したい場合は、ロジックツリーの作り方も使えます。ただし、ここで大切なのはフレームワークを使うこと自体ではなく、最初の案を結論として固定しないことです。
比較する軸を変えると、選ぶ案も変わる
最初は「どんな集客施策をやるか」で比べていたとしても、本当の詰まりが商談化なら、比較する軸を変えます。
- 今いる見込み客へのフォローを改善できるか
- 小さく試して、どこで止まっているか確認できるか
- 新しい見込み客を増やす必要が本当にあるか
- 新しい施策を増やした後も運用できるか
この軸で見ると、最初の「月1回のウェビナーを開催する」をそのまま企画書にするより、「まず既存の見込み客へのフォロー方法をそろえて試し、商談化の詰まりを確認する。ウェビナー開催はその結果を見て再判断する」という企画の方が現実に合っているかもしれません。
未確認事項は、無理に埋めずに残す
企画書を作ろうとすると、空欄を埋めたくなります。しかし、判断に重要な前提が分かっていないなら、分からないものを残した方がよい場合があります。
- 商談化しなかった主な理由は何か
- 現在のフォロー方法はどこまで統一されているか
- ウェビナー実施後のフォローを誰が担うか
この情報が無ければ、ウェビナーをやるべきとも、やめるべきともまだ言えません。そこで企画書を完成させる前に、何を先に確かめれば企画を決められるかを明示します。
何を提案するか決まってから、「伝える順序」を作る
企画の方向が見えてから、初めて企画書の順番を考えます。先ほどの例なら、次のように組めます。
- 新規顧客を増やしたいという目的
- すでに見込み客はいるが、商談化に課題がある可能性
- まず既存の見込み客へのフォローをそろえて試す理由
- 試行で確認すること
- 結果を見てウェビナー企画を再判断すること
この段階まで決まっていれば、その後はPowerPoint、Google スライド、Word、AIなどで資料化しやすくなります。

WordやAIだけで十分なときもある
この整理に、いつも専用ツールが必要なわけではありません。
伝える順番がすでに決まっているなら、WordやGoogle ドキュメントでアウトラインを書けば十分です。
比較軸が固定されているなら、ExcelやGoogle スプレッドシートの表の方が適しています。材料が少なく、一度並べれば決められるなら紙や付箋でも足ります。
AIに案や構成を出してもらう方法も有効です。候補を増やす、抜けを探す、別案を出す、といった作業は速くできます。
一方で、次のような状態では、生成された1本のアウトラインだけでは扱いにくいことがあります。
- AIの案も含めて複数の材料を残しておきたい
- 分類先が途中で変わる
- 同じ事実が複数の論点に関係する
- 比較軸そのものを変えたい
- 未確認事項を残したまま考えたい
- 一度作った構成を壊して組み直したい
このような場合は、材料を消さずに置いたまま、位置・分類・関係を変えられる作業面があると考えやすくなります。
idea Laneでは、材料を残したまま提案を組み直せる
idea Laneは、短い材料をキャンバス上に置き、観点を追加したり、情報を階層化したり、関係線でつないだりしながら考えるための思考整理ツールです。
ここまでの集客企画とは別の題材でも、同じ整理を使えます。
たとえば以下は、idea Laneで上の問い合わせ対応の改善提案を架空例として1枚に置いています。
この例では、横方向を「集めた材料・別案」「いま比べている論点」「伝える順序(仮)」、縦方向を「何が問題?」「どの案を選ぶ?」「何を先に確かめる?」として整理しています。

この例でも、最初の案をそのまま採用していない
この架空例の最初の案は「FAQ基盤を導入する」でした。しかし、顧客の声、別案、未確認事項を同じキャンバス上で見直した結果、案を選ぶ軸が「機能」から「運用できるか」へ変わっています。
その結果、提案も「FAQ基盤を導入する」から「先に既存運用で小さく試す案」へ変わりました。基盤の導入案は消さずに残し、試行後に比較し直します。先ほどの集客企画と題材は違いますが、やっていることは同じです。

この例で見せたいのは、枠を埋めることではありません。資料を作り込む前なら、材料を見直して「何を提案するか」そのものを変えられることです。
自分の材料で考えてみる
材料はあるのに、まだ何を提案するか固まっていないなら、資料を作り始める前に、手元の材料を1枚に並べるところから始められます。
材料を並べて、提案を考え直す
思考整理ツールidea Laneで、問い合わせ改善の架空例を開き、カードを自分の材料に置き換えて使えます。
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