複数の事業や製品ラインを抱えると、「限られた資源をどこに投下すべきか」「撤退のタイミングはいつか」という悩みがつきまといます。
そこで威力を発揮するのがGEマッキンゼーマトリクス(別名:GEビジネススクリーン、9セルマトリクス)。
本記事ではこのフレームワークを解説し、わずか数クリックで可視化できるidea Laneのテンプレート活用法を説明します。
GEマッキンゼーマトリクスとは?
GEマッキンゼーマトリクスは、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社とマッキンゼー・アンド・カンパニーが共同開発した戦略フレームワークで、以下の2軸で事業を評価します。
高い業界魅力度 | 中程度 | 低い業界魅力度 | |
---|---|---|---|
高い自社競争力 | 積極的に投資 | 選択的に投資 | 条件付き維持・撤退 |
中程度 | 選択的に投資 | 維持または選択 | 条件付き撤退 |
低い自社競争力 | 撤退検討 | 撤退方向 | 即時撤退 |
このように、各事業の立ち位置をマトリクス上に整理することで、客観的かつ戦略的な事業判断が可能になります。
「業界魅力度」と「自社競争力」を高・中・低の3段階で評価し、9つのセルに事業を配置します。
資源投入を強化すべき「積極投資ゾーン」、慎重に育成する「選択的投資ゾーン」、縮小・撤退を検討する「収穫ゾーン」がひと目でわかるのが特徴です。
BCGの4象限よりも評価軸を多面的に設定できるため、「成熟産業でも高収益を生み出すニッチ事業」や「急成長だが競争が激しい新規事業」など、ニュアンスを含めて判断できる点がメリットとされています。
外部要因・内部要因をそれぞれ複数指標でスコアリングすることで、数値根拠に基づいた意思決定を後押しすることが可能です。
なぜ今、このフレームワークが求められるのか?
VUCA時代と呼ばれる不確実性の高い現代。
企業は変化し続ける市場の中で、迅速かつ正確に意思決定を行う必要があります。
例えば以下のような状況で、GEマッキンゼーマトリクスが有効ではないでしょうか。
- 多角化が進むスタートアップの第2成長フェーズ
- 既存事業の選択と集中が急務の中堅企業
- サステナビリティ・新規規制に伴う事業ポートフォリオの見直し
「新規事業や事業撤退の投資判断を行いたい」「既存のリソース配分を見直したい」「経営陣や投資家との議論材料がほしい」といった様々な用途で活用できます。
アイディア・レーンでの使い方:視覚的・直感的に事業を配置
アイディア・レーンでは、GEマッキンゼーマトリクスを横3マス × 縦3マスのテンプレートとして視覚的に整理できます。
- 各マス(エリア)が事業のポジションを表す
- ドラッグ操作で事業アイディアを配置
- 補足情報を追記できるグルーピング・コメント・装飾機能
- 矢印や関係線で事業間の連携も示せる
このUIにより、GEマッキンゼーマトリクスの本質である「俯瞰的な判断」や「複数視点からの検討」が簡単に実践可能になります。
実際のテンプレートがこちらです。
GEマッキンゼーマトリクスの実践ステップ
GEマッキンゼーマトリクスを使った評価は以下の4ステップで進めます。
1. 評価指標の決定
業界魅力度と競争力のそれぞれについて、重要な指標を特定します。
評価ファクターを洗い出す7つの質問
- 市場成長率は?
- 参入障壁は?
- 代替品の脅威は?
- 顧客決定要因は?
- 技術の模倣困難性は?
- ブランド・チャネル優位性は?
- ROIは市場平均を上回るか?
2. データ収集と分析
各指標について定量的または定性的なデータを収集します
3. 事業をマトリクスにプロット
評価結果をもとに、各事業をマトリクス上に位置付けます。
4. 投資判断と戦略立案
マトリクスの位置に応じて、積極投資、選択投資、撤退や事業縮小の判断を行います。
GEマトリクスと他フレームワークの比較
BCGマトリクスとの違い
GEマッキンゼーマトリクスと最も混同されやすいのが、BCGマトリクス(ボストン・コンサルティング・グループによる製品ポートフォリオ分析/PPM分析)です。
両者はどちらも「事業・製品の選別と投資配分」を目的としたフレームワークですが、評価の軸と粒度に大きな違いがあります。
項目 | GEマトリクス | BCGマトリクス |
---|---|---|
評価軸 | 業界魅力度 × 自社競争力 | 市場成長率 × 相対的市場占有率 |
評価方法 | 主観+客観を併用し、複数指標でスコア化 | 主に定量データ(売上・シェア)を使用 |
セル数 | 9セル(3×3) | 4象限 |
柔軟性 | 高(指標のカスタマイズ可) | 中〜低(軸が固定) |
分析の粒度 | 精緻で中長期向き | シンプルで短期判断向き |
BCGマトリクスは、製品ライフサイクルに沿った投資判断に有効ですが、「競争優位性がどこにあるか」「業界の成熟度はどうか」といった質的な差異までは拾いきれないことがあります。
一方、GEマトリクスは評価軸を細分化し、たとえば「チャネル優位性」「ブランド認知」「収益性」などを別々にスコア化して加重平均を取るなど、より戦略的・構造的な判断に向いています。
アンゾフの成長マトリクスとの違い
アンゾフの成長マトリクスは「市場×製品」の新旧軸によって、「市場浸透・新市場開拓・新製品開発・多角化」の4パターンの成長戦略を整理するフレームワークです。
GEマトリクスと異なり、「事業の強さ」や「業界魅力度」のような定量評価を行うものではなく、方向性を定めるための選択肢整理ツールです。
つまり、アンゾフは「何をやるべきか」を方向づけ、GEは「どの事業に資源を配分すべきか」を判断するツールと言えるかもしれません。
idea Lane上では、アンゾフマトリクスを使って戦略的オプションを洗い出した後、それらの実行候補をGEマトリクスに配置し直すといった連携的な使い方も可能です。
Q&A(FAQ)
Q1. 9セルのサイズを変えたい場合は?
A. レーンの幅・高さを、マウスドラッグや数値入力でカスタマイズ可能です。
Q2. 3×3セルを細分化できますか?
A. レーンを追加して5段階評価などに拡張することもできます。
Q3. 公共政策分析などへの適用は可能ですか?
A. 業界魅力度を「社会的インパクト」に置き換えるなど、軸を変更することで応用可能です。
まとめ
フレームワークは“描くだけ”では価値を生みません。
議論と更新を重ね、データと仮説を往復しながら活用することで、初めて競争優位の源泉となります。
idea Laneはそのプロセスを“楽しく、速く、正確に”するための相棒です。
今すぐアカウントを作成し、あなたの戦略ストーリーを走らせましょう。
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