SCAMPER法(スキャンパー法)とは? 7つの視点でアイディアを生み出す方法の解説と、すぐに使えるテンプレート

SCAMPER法アイキャッチ

「新しいアイデアが出てこない」
「商品を改良したいけれど、どこから手を付ければいいかわからない」

そんなときに効くのが SCAMPER(スキャンパー)法 です。

SCAMPERは、既存のアイデア(商品・サービス・企画・業務手順など)に対して、7つの“変化の切り口”を順番に当てていく発想法。
ひらめき頼みではなく、「変化のパターン」を使うことで、誰でも再現性高くアイデアを出せるようになる点が大きな特徴です。

この記事では、SCAMPERの基本から、メリット・デメリット、使いこなすコツ、具体的な活用手順、ツールの選び方、そして思考整理ツールアイディア・レーン(idea Lane)での実践方法まで、まとめて整理します。

この記事でわかること

  • SCAMPER(スキャンパー)法の意味と7つの視点
  • SCAMPERのメリット・デメリット
  • 活用ステップ
  • ツール選びのポイント
  • SCAMPERのテンプレートを使った最短の始め方

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目次

SCAMPER法(スキャンパー法)とは?

SCAMPER法は「既存アイデアを揺さぶる」発想法

SCAMPER法は、新しいアイデアをゼロから生み出すというよりも、すでにあるアイデア・商品・サービス・仕組みを出発点として、さまざまな角度から「揺さぶって」発展させていくフレームワークです。

名前の由来は、次の7つの英単語の頭文字を並べたものです。

  • S:Substitute(代用する) ─ 何かを別のものに置き換えられないか?
  • C:Combine(組み合わせる) ─ 他の要素と組み合わせられないか?
  • A:Adapt(応用する) ─ 既存のものを別の用途に応用できないか?
  • M:Modify / Magnify / Minify(修正・拡大・縮小する) ─ サイズや強さ、形を変えられないか?
  • P:Put to other uses(転用する) ─ 別の使い道はないか?
  • E:Eliminate(削除・単純化する) ─ 何かを思い切って削れないか?
  • R:Reverse / Rearrange(逆転・再配置する) ─ 逆にしたり順番を入れ替えられないか?

これらの質問を順に(あるいはランダムに)既存のテーマに投げかけることで、多角的な視点からアイデアを強制発想することができます。

SCAMPER法の歴史と成り立ち

SCAMPER法は、ブレインストーミングの生みの親として知られるアレックス・F・オズボーンが提唱した「オズボーンのチェックリスト(9つの質問)」をベースにしています。
その後、1970年代に心理学者のボブ・エバール(Bob Eberle)が、より覚えやすく、使いやすいように7つの要素の頭文字をとって「SCAMPER」として再構成しました。

「SCAMPER(スキャンパー)」という言葉自体には、英語で「素早く駆け回る」「ぴょんぴょん跳ね回る」という意味があります。この名の通り、7つの質問をテンポよく駆け巡ることで、凝り固まった思考を解きほぐし、自由自在な発想を可能にするのがこの手法の真髄です。

SCAMPER 7 viewpoints

それでは各視点について、事例を交えながら詳しく見ていきましょう。

1. Substitute(置き換える)

「今の要素を、別の何かに代えられないか?」と考える視点です。
材料、場所、人、手順、時間、感情など、あらゆる要素を代替品と入れ替えてみます。
ポイントは、「当たり前」だと思っている前提条件を疑うことです。

考えるためのヒント

  • 素材を代える:金属をプラスチックに、紙をデジタルに、肉を大豆に代えられないか?
  • 人を代える:専門家ではなく素人に、大人ではなく子供に、人間ではなくAIに任せられないか?
  • 場所を代える:店舗ではなくオンラインで、オフィスではなく自宅で、国内ではなく海外で行えないか?

問いかけの例:

  • この素材をプラスチックではなく、あえて環境負荷の高い木材や布に変えたらどうなる?
  • 対面で行っている業務を完全にオンライン、あるいは自動ボットに置き換えたら?
  • ターゲット層を「現役世代」から、その子供や親の世代に置き換えたら?
  • このプロジェクトのリーダーを、あえて新入社員に置き換えたらどんな化学反応が起きる?
  • 販売場所を店舗から「移動販売車」や「自動販売機」に置き換えたら?

具体的な活用事例

【大豆ミート(代替肉)】
近年注目を集めている大豆ミートは、ハンバーグやナゲットの「肉」という素材を「植物性タンパク質(大豆)」に代用した好例です。これにより、健康志向の層やベジタリアンという新しい市場を開拓し、環境負荷の低減という新たな価値も生み出しました。

【電子書籍】
「紙とインク」という物理的な媒体を、「デジタルデータとディスプレイ」に代用しました。これにより、在庫リスクの解消、即時配送、検索機能の付加など、出版ビジネスの構造そのものを大きく変えることになりました。

【AIチャットボット】
カスタマーサポートにおいて、これまで「人間」が行っていた一次対応を「AI(人工知能)」に代用させることで、24時間365日の対応が可能になり、人件費の削減と顧客満足度の向上(待ち時間の短縮)を同時に実現しています。

【紙ストローの導入
環境問題への意識が高まる中、プラスチックという安価で機能的な素材を「紙」に置き換えました。機能面では劣る部分もありましたが、企業の姿勢を示すブランディングツールとしての価値を生み出しました。

【オンライン内見
不動産探しにおいて「現地へ行く」という不可避なステップを「デジタル通信」に置き換えました。これにより、遠方からの引っ越し希望者のハードルを劇的に下げ、成約率の向上に寄与しました。

このように、「当たり前だと思っている要素」を一つ取り上げ、それを別の何かに置き換えてみる思考実験は、コスト削減や新しいターゲット層の獲得に直結する強力なアプローチです。

2. Combine(組み合わせる)

「AとBを合体させたらどうなるか?」を考える視点です。
一見関係のない2つのものを組み合わせることで、全く新しいシナジー(相乗効果)が生まれます。現代のイノベーションの多くは、この「組み合わせ」から誕生しています。

考えるためのヒント

  • 機能を組み合わせる:Aの機能とBの機能を一つの製品にまとめられないか?
  • 目的を組み合わせる:勉強と遊び、仕事と休暇を組み合わせられないか?
  • 異分野を組み合わせる:テクノロジーと農業、ファッションと医療を組み合わせられないか?

問いかけの例:

  • この商品に、全く別の業界で使われている機能をプラスしたらどうなる?
  • 異なる2つの専門スキル(例:プログラミング × 料理)を掛け合わせたら何ができる?
  • サービス提供と同時に「教育」や「エンターテインメント」を組み合わせられないか?
  • 競合他社と協力して、一つのプラットフォームを運営することはできないか?
  • 朝の習慣と、このアプリの利用を組み合わせる仕組みは作れるか?

具体的な活用事例

【カメラ付き携帯電話
「電話」という通信機能と「カメラ」という記録機能を組み合わせたことは、21世紀最大のイノベーションの一つです。これにより、SNS文化やVlogといった新しいライフスタイルが生まれました。
そしてその後さらに、ブラウザやミュージックプレイヤーを含む様々な要素が合体した「スマートフォン」へと発展していきました。

【消しゴム付き鉛筆】
非常にシンプルですが、「書く」道具と「消す」道具を結合させた古典的なヒット商品です。別々に持ち歩く不便さを解消し、作業効率を高めました。

【ワーケーション】
「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」という、一見相反する概念を結合させた新しい働き方です。リゾート地で仕事をすることで、リフレッシュしながら生産性を高めるという新しいライフスタイルを提案しました。

【ブックカフェ
「書店」と「カフェ」を組み合わせることで、単なる物販の場を「体験の場」へと進化させました。滞在時間を延ばし、顧客単価と満足度を同時に高めるモデルとして定着しています。

結合のポイントは、意外性のある組み合わせほどインパクトが強いということです。「絶対に合わない」と思われているもの同士をあえてくっつけてみることで、ブルーオーシャンが見つかるかもしれません。

3. Adapt(適応させる・応用する)

「他分野で成功しているアイデアを、自分の問題に応用できないか?」と考える視点です。
他分野・自然界・過去の成功例の「構造」を借りて、自分のテーマに移植します。「これ、他のところでも見たことがあるな」という気づきを大切にします。

考えるためのヒント

  • 他業界の成功モデルを借りる:サブスクリプション、シェアリングエコノミーなどのモデルを自社に適用できないか?
  • 自然界から学ぶ(バイオミミクリー):植物や動物の構造や機能を製品に応用できないか?
  • 過去のアイデアを再利用する:昔流行ったスタイルを現代風にアレンジできないか?

問いかけの例:

  • 自然界の仕組み(例:蓮の葉の撥水性)を、この新製品のデザインに活かせないか?
  • ソーシャルゲームの「ログインボーナス」の仕組みを、社内の事務作業の効率化に応用できないか?
  • 過去の歴史的な事件での解決策を、現代のビジネスのコンプライアンス問題に適応させると?
  • サブスクリプションモデルを、従来「売り切り」が当たり前だった業界(例:家具、車)に持ち込んだら?

具体的な活用事例

【マジックテープ(面ファスナー)】
発明者のジョルジュ・ド・メストラルが、服にくっつく野生のゴボウの実(ひっつき虫)の構造を観察し、それを工業製品に「適応」させて開発したと言われています。自然界の仕組みを製品開発に応用した代表例です。

【回転寿司】
ビール工場のベルトコンベアを見て、「これに寿司を乗せれば、職人が握ることに専念でき、客も好きなものを取れるのではないか」と発想し、飲食店の提供システムに応用しました。

【新幹線のパンタグラフ】
高速走行時の騒音問題を解決するために、音を立てずに獲物を捕らえるフクロウの羽の構造をパンタグラフの形状に適応させました。これにより、騒音を大幅に低減することに成功しました。

【500系新幹線の鼻
カワセミのくちばしの形状を新幹線の先端部分に応用した例です。トンネル突入時の衝撃音を抑えるという課題に対し、自然界の「空気抵抗を抑えて水に飛び込む仕組み」を適応させることで解決しました。

【ユニバーサルデザイン
もともとは障害を持つ人のために設計された考え方を、一般の商品(例:持ちやすいシャンプーボトル)に適応させることで、結果としてすべての人に使いやすい製品が生まれました。

自分の業界に閉じこもらず、まったく異なる世界を見渡してみましょう。「あの業界のあの仕組み、ウチでも使えないか?」という問いかけが、ブレイクスルーを生む鍵となります。

4. Modify / Magnify(修正する・拡大する)

「形や色、大きさを変えてみたらどうなるか?」と考える視点です。
単に「修正(Modify)」するだけでなく、極端に「大きく(Magnify)」したり、逆に「小さく(Minify)」したり、あるいは特定の要素を「強調」したりすることで、隠れたニーズが見えてきます。

考えるためのヒント

  • 拡大する(Magnify):サイズを大きく、回数を多く、強度を高く、価値を付加できないか?
  • 縮小する(Minify):サイズを小さく、軽く、短く、分割できないか?
  • 変更する:色を変える、形を変える、パッケージを変えることはできないか?

問いかけの例:

  • この製品のサイズを今の10倍に大きくしたら、どんな新しい市場が生まれる?(例:巨大な付箋)
  • 逆に、顕微鏡でしか見えないレベルまで小さくしたら、どんな技術転用ができる?
  • ロゴの色を真逆の印象のものに変えたり、香りを付け加えたりしたら?
  • サービスの利用期間を「一生涯」に拡大したら、どんな料金体系になる?
  • スマートフォンの画面を折りたたみ式にして、必要に応じて拡大・縮小できるようにしたら?

具体的な活用事例

【iPad(タブレット端末)】
スマートフォンを「拡大」し、パソコンのキーボードをなくして「変更」したような存在です。画面を大きくすることで、閲覧性や操作性が向上し、スマホともPCとも異なる独自の市場を確立しました。

【1000円カット】
理容室のサービスから、マッサージや髭剃りなどの時間を「縮小(短縮)」し、価格も「縮小」しました。「時間がない」「安く済ませたい」というニーズに特化することで成功を収めました。

【カップヌードル】
ラーメンという料理を、歩きながらでも食べられるように、発泡スチロールの容器に入れてフォークで食べる形に「修正」しました。これは食スタイルの変革とも言えます。

超大型テレビ: かつてテレビはコンパクトさが求められましたが、あえて「大きくする」方向へ振り切ることで、映画館のような体験を家庭に提供する「ホームシアター」市場を確立しました。

タブレット菓子(フリスク等): 従来のミントキャンディを極限まで「小さく(凝縮)」し、強力な刺激を持たせることで、口寂しさを紛らわせるのではなく「リフレッシュ」という新しい価値を定義しました。

既存のもののバランスをあえて崩してみることで、新しい用途やターゲットが見えてくることがあります。「常識的なサイズ」や「標準的な形」を疑ってみましょう。

5. Put to other uses(他の使い道を探る)

「今のまま、あるいは少し変えて、別の目的で使えないか?」と考える視点です。
ターゲット市場を変える、あるいは本来の用途とは異なる「意外な使われ方」に注目します。既存の資産(リソース)を捨てずに再定義するのがコツです。

考えるためのヒント

  • ターゲットを変える:子供用を大人用に、女性用を男性用に、プロ用を家庭用にできないか?
  • 廃棄物を活用する:捨てている部分を別の製品の材料にできないか?
  • 弱みを強みに変える:失敗作を別の用途で活かせないか?

問いかけの例:

  • この製造工程で出る「廃熱」を、近隣の温室栽培や地域暖房に転用できないか?
  • 子供向けの学習ソフトを、高齢者の認知症予防トレーニングに転用したら?
  • 自社開発した勤怠管理システムを、他社向けにクラウドサービスとして外販できないか?
  • 昼間は使われていないバーのスペースを、コワーキングスペースとして貸し出したら?
  • プロのスポーツ選手のトレーニング理論を、ビジネスマンのメンタル管理に応用したら?
  • 別ターゲット(例:個人→法人、初心者→上級者)で使うなら?
  • 別シーン(例:自宅→移動中→職場)なら?
  • 副次的価値(例:記録→共有→コミュニティ)を主役にできないか?

具体的な活用事例

【ポスト・イット】
もともとは「非常に強力な接着剤」を開発する過程で生まれた、うっかり「すぐ剥がれてしまう接着剤」でした。これを失敗作として捨てるのではなく、「仮止めできるしおり」という別の用途に見出したことで世界的大ヒットとなりました。

【古タイヤのサンダル】
廃材となった自動車のタイヤを、その耐久性とグリップ力を活かしてサンダルの底(ソール)として転用するエコな製品があります。廃棄物処理の問題解決と製品化を同時に実現しています。

【ベーキングソーダ(重曹)】
元々は料理の膨らし粉として使われていましたが、その研磨作用や消臭効果に着目し、掃除用洗剤や消臭剤として広く転用されるようになりました。

【バブ(入浴剤)
もともとは医療用の炭酸泉(血行促進)の研究から生まれました。これを「自宅で手軽に疲れを取る入浴剤」という一般消費者向けの用途に転用したことで、家庭の定番商品となりました。

「これは○○をするための道具だ」という決めつけを捨て、「他に何に使えるだろう?」と柔軟に考えることで、埋もれていた価値を再発見することができます。

6. Eliminate(削除する・削ぎ落とす)

「無駄なもの、当たり前だと思っている要素を削ったらどうなるか?」と考える視点です。
引き算の思考は、複雑化した現代において最も強力なイノベーションの武器になります。「これ、本当になくても困らないのでは?」と問い続けます。

考えるためのヒント

  • 機能を削る:多機能すぎる製品から、本当に必要な機能以外をすべて削除したらどうなるか?
  • 工程を省く:中間業者、待ち時間、手続き、梱包をなくせないか?
  • 常識を捨てる:業界で当たり前とされている慣習をやめられないか?

問いかけの例:

  • この製品から、ボタンをすべてなくして音声操作だけにしたら?
  • 会議の「資料作成」を完全に禁止したら、議論の質はどう変わる?
  • 実店舗を持たず、在庫も持たないビジネスモデル(ドロップシッピング等)にしたら?
  • 商品の過剰なパッケージを廃止して、中身だけの「量り売り」に特化したら?
  • 就業規則から「勤務時間」や「場所」の制約を削除したら、採用力はどう変わる?
  • 機能を減らして分かりやすくできないか?
  • 時間・コスト・摩擦を削れないか?

具体的な活用事例

【ダイソンの扇風機】
扇風機から「羽根」を削除しました。これにより、安全性が高まり、掃除がしやすくなり、デザインも革新的なものになりました。扇風機の常識を覆した事例です。

【LCC(格安航空会社)】
機内食、無料のドリンク、預け入れ荷物の無料枠、座席指定など、フルサービスキャリアが提供していたサービスを徹底的に「削除」することで、圧倒的な低価格を実現し、航空移動を身近なものにしました。

【QBハウス(1000円カット)】
洗髪台を削除しました。髪を洗わない代わりに、エアウォッシャーで吸い取る仕組みを導入し、水回り設備のコストと施術時間を大幅にカットしました。

何かを足すことは簡単ですが、何かを削るには勇気が要ります。しかし、余計なものを削ぎ落とすことで、製品のコンセプトが鋭くなり、特定のユーザーに強く刺さるものになります。

7. Reverse / Rearrange(逆転させる・並べ替える)

「順序を逆にしたり、役割を入れ替えたりしたらどうなるか?」と考える視点です。
順番・役割・前提をひっくり返します。「提供側→受け手」「購入→体験」「完成→途中」など、反転で新しい体験が出ます。
上下関係や時間軸の逆転がカギになります。

考えるためのヒント

  • 順序を逆にする:先に支払いをしてから食べる、先に結論を言ってから理由を言う。
  • 役割を逆転する:売り手と買い手、先生と生徒、上司と部下の役割を入れ替えたら?
  • 配置を変える:レイアウト、スケジュールの順番、構成要素の並びを変えたら?

問いかけの例:

  • 顧客が店舗に来るのではなく、店舗が顧客のところへ行く(移動販売・デリバリー)としたら?
  • 「作ってから売る」のではなく、「先に注文を受けてから作る(受注生産)」に変えたら?
  • マニュアルを読んでから操作するのではなく、操作して失敗してからマニュアルを読む構成にしたら?
  • 上司が部下を評価するのではなく、部下が上司を評価し、その結果で給与が決まる仕組みは?
  • 支払いを「後払い」から、サービス利用前の「超先払い(10年分)」にしたらどんな特典ができる?
  • 「前提」を逆にしたら成り立つ?

具体的な活用事例

【回転寿司の会計システム】
従来は「食べたものを伝票に書いて最後に計算」していましたが、これを再構成し、「皿の色で価格を決め、皿を数えるだけで会計」できるようにしました。プロセスを視覚化・単純化しました。

【Uber / Airbnb】
従来のタクシーやホテルは「企業が資産を持ち、顧客に提供する」ものでしたが、これらのサービスは「個人が資産(車・部屋)を持ち、企業はマッチングだけを行う」という構造の逆転(再構成)を行いました。

逆さ傘
傘を閉じる方向を逆に設計した商品です。濡れた面が内側に入り込むため、閉じた後に服や周囲が濡れないという、長年のストレスを「逆転の発想」で解決しました。

「常識の逆」を行くことは、イノベーションの近道です。あえて逆のパターンをシミュレーションしてみることで、隠れていた不合理や新しい可能性に気づくことができます。

SCAMPER examples

SCAMPER法を活用するメリットと役立つ場面

SCAMPER法がこれほど長く愛用されているのには、明確な理由があります。ここでは、このフレームワークを使うことで得られる具体的なメリットと、特に真価を発揮する場面を解説します。

1. 圧倒的なスピードで「アイデアの数」を稼げる

創造性の第一歩は「量」です。SCAMPER法は7つの切り口がすでに用意されているため、ゼロから考えるよりもはるかに速く、機械的にアイデアを量産できます。1つのテーマに対して各項目10個ずつ出せば、短時間で70個のアイデアが揃います。この「数の安心感」が、質の高いアイデアを呼び寄せます。

2. 思考の「死角」を強制的に照らし出せる

人間には誰しも思考の癖があります。いつも「組み合わせ」ばかり考えてしまう人も、SCAMPER法を使えば「削除」や「逆転」といった、自分では普段選ばないルートを強制的に通らされます。これにより、自分一人の頭では絶対に辿り着けなかった、革新的なアイデアの種を拾い上げることができます。

3. 初心者でもすぐに実践できる

特別な専門知識や、生まれ持った「センス」は必要ありません。7つの質問リストさえ手元にあれば、新入社員からベテランまで、誰でも同じ土俵でクリエイティブな議論に参加できます。チームでのブレインストーミングにおいて、参加者の心理的安全性を高める効果もあります。

4. 既存資産の価値を最大化できる

新しいリソースを調達しなくても、今ある製品やサービス、スキルを「どう変形させるか」という視点に特化しているため、コストを抑えたイノベーションが可能です。「今あるもので何ができるか」を考えるとき、これほど強力な武器はありません。

特に役立つ場面

  • 既存商品のリニューアル: 市場が成熟し、売れ行きが落ちてきた商品のテコ入れ策を考えるとき。
  • 業務プロセスの改善: 「昔からこうだったから」という慣習を壊し、効率化やミス削減を実現したいとき。
  • 新規事業の種探し: 他業界で成功しているビジネスを分解し、自社の強みと掛け合わせて新サービスを作るとき。
  • パーソナルな問題解決: 勉強法、ダイエット、家計管理など、個人的な目標達成のために現状を打破したいとき。

デメリットと注意点

SCAMPER法は非常に強力ですが、万能ではありません。正しく使うために、以下のデメリットや注意点を理解しておきましょう。

1. 「既存の対象物」がないと機能しにくい

SCAMPER法は、何かを「変形」させる手法です。そのため、全くの白紙状態から「何かすごいことを思いつきたい」という場合には向きません。
まず、分析の対象となる「ベースのアイデア」や「既存の製品」を明確に用意しておく必要があります。

2. 表面的なアイデアで終わりやすい

チェックリストを埋めること自体が目的になってしまうと、「単に色を変えるだけ」「単に名前を変えるだけ」といった、本質的でないアイデアが並んでしまうことがあります。
「なぜそれを変えるのか?」「変えることで誰のどんな悩みが解決されるのか?」という目的意識を常に持つことが大切です。

3. 実現可能性(フィジビリティ)の検討は別工程

SCAMPER法はあくまで「発散」のためのツールです。出てきたアイデアの中には、法律で禁止されているもの、コストが数億円かかるもの、現代の技術では不可能なものが含まれます。
これらをそのまま実行に移すのではなく、後工程でしっかりと「絞り込み」と「検証」を行う必要があります。

4. 思考の「枠」がSCAMPERに固定されるリスク

7つの視点は非常に網羅的ですが、世の中のすべての発想がこれに含まれるわけではありません。
SCAMPERを万能視しすぎると、そこから漏れる「直感」や「感情的なひらめき」を無視してしまう恐れがあります。「思考の補助輪」として活用しましょう。

SCAMPER法を使いこなすコツ

単に質問に答えるだけでなく、以下のコツを意識することで、SCAMPER法の効果は数倍に跳ね上がります。

1. 「質より量」を徹底し、批判を完全に封印する

ブレインストーミングの鉄則ですが、SCAMPER法では特に重要です。この段階では「それは無理だろう」「コストがかかりすぎる」「前にもやったよ」といった批判は自分に対しても他人に対しても禁止です。どんなにバカげたアイデアでも、そこから「逆転」や「組み合わせ」を経て素晴らしい案に化ける可能性があります。まずは「出すこと」に快感を覚えましょう。

2. 制限時間を設ける(タイムボックス)

ダラダラと考えるよりも、「1項目につき3分で、最低5個は出す」といった制約を設けたほうが脳は活性化します。集中力を維持するために、タイマーを使ってゲーム感覚で取り組むのがおすすめです。短時間で追い込むことで、潜在意識にある突飛なアイデアが表面化しやすくなります。

3. 答えにくい項目は即座に「スキップ」する

7つの項目すべてを均等に埋める必要はありません。テーマによっては「削除」は相性がいいけれど「逆転」は全く思いつかない、ということもあります。詰まってしまったら時間をかけずに次の項目へ移りましょう。思考のリズムを止めないことが、クリエイティビティを維持するコツです。

4. AIツール(ChatGPT等)を「刺激剤」にする

自分一人で行う場合は、AIに「この製品をSCAMPER法で10個ずつ拡張して」と依頼し、その回答を見てみましょう。AIが出した突飛な案を見て、「あ、その視点はなかったな」と自分の思考をさらに刺激する材料(着火剤)として活用するのです。AIに答えを出させるのではなく、AIとの対話で自分の脳を揺さぶるイメージです。くスキップして次の項目に進みましょう。止まってしまうよりも、思考のフローを止めないことのほうが重要です。

5. チームで行うと相乗効果が生まれる

一人で行うのも良いですが、複数人のチームで行うとさらに効果的です。他の人のアイデアに対して「さらにそれを修正(Modify)したらどうなる?」と被せていくことで、一人では到達できない高みへ登ることができます。

活用手順:実践のための5ステップ

実際にSCAMPER法を進める際の、標準的かつ効果的なステップをご紹介します。

Step 1:テーマ(対象)を具体的に決める

「何についてアイデアを出すのか?」を1行で書き出します。

ただし「仕事の改善」といった曖昧なものではなく、「自社で販売しているAというボールペンの売上を2倍にする方法」や「毎週月曜の定例会議の時間を30分短縮する方法」など、できるだけ具体的に設定します。対象が具体的であればあるほど、SCAMPERの質問は鋭く機能します。

Step 2:各視点でアイデアを書き出す

SCAMPERの7つの質問を順番にぶつけます。

個人で行うならノートやデジタルツールに、チームで行うなら付箋に書き出していきます。
このとき、後から整理しやすいように「どの項目(SなのかCなのか)から出たアイデアか」をメモしておくと良いでしょう。

デジタル思考ツールであるidea Laneなら、すぐに始められるテンプレートを用意しています。

Step 3:アイデアを眺め、さらに膨らませる

出揃ったアイデアを一通り眺めます。ここで「ステップ2で出たSの案と、Cの案をさらに組み合わせたら面白いかも?」といった、アイデア同士の化学反応を促します。
この「俯瞰してつなぐ」作業が、質の高い案を作る重要なポイントです。

Step 4:評価・選別する(収束)

ここで初めて「質」のフェーズに入ります。以下の3軸などで評価し、実行に移すべきアイデアを数個(3〜5個程度)に絞り込みます。

  • 実現可能性: 今のリソースですぐに始められるか?
  • インパクト: 目標達成への効果は大きいか?
  • ワクワク感: 自分たちが「やってみたい」と思えるか?

Step 5:アクションプランに落とし込む

選んだアイデアを「いつ」「誰が」「どうやって」検証・実行するかを決めます。

完璧な計画である必要はありません。まずは「プロトタイプを作る」「アンケートを取る」といった、最初の一歩(スモールスタート)を確定させましょう。

チームでワークショップとして使う場合のステップ

  1. 目的とテーマを共有する
    「今日は◯◯の改善案を出す」「ゴールは実際に試す案を3つ決める」のように、目的とアウトプットを最初に宣言します。
  2. SCAMPERの7視点を簡単にインプットする
    初めてのメンバーがいる場合は、各視点の意味と代表的な問いを簡単に説明します。
  3. 個人発想 → 共有 → 集約の順で進める
    いきなり全体ディスカッションに入るのではなく、まずは個人でアイデアを書き出し、その後に共有・統合していきます。
  4. 似た案をクラスタリングし、名前を付ける
    ホワイトボードや思考整理ツール上で、似た案をまとめてタイトルを付けます。ここで「この塊は何のための案か?」を言語化することで、後工程の設計がしやすくなります。
  5. 評価基準を決めて優先順位をつける
    インパクト/実行コスト/学びの大きさなど、評価軸を2〜3個に絞り検討していきます。
  6. 次のアクションを決める
    「誰が」「いつまでに」「どの案を」「どの規模で試すか」まで決めてワークを終えると、机上の空論で終わりにくくなります。

ツールの選び方

SCAMPERは紙とペンさえあれば実践できますが、実務で繰り返し使うならツール選びも重要です。
それぞれの特徴を整理します。

  • 紙のノート・付箋:
    もっとも手軽で自由度が高いです。しかし、修正や並べ替えが面倒だったり、保存や共有がしにくいというデメリットがあります。
  • ホワイトボード:
    チームでのブレストには最適ですが、書き込めるスペースに限りがあり、結果をデジタル化して残すのに手間がかかります。
  • スプレッドシート:
    列や行があらかじめあるのでざっと書くのは便利です。しかし7つの視点を一覧できるようにレイアウトするのに工夫が必要です。また書き出したアイデア同士の関係の表現がしづらいです。
  • マインドマップツール:
    放射状に思考を広げるのには向いていますが、SCAMPERのように「7つの枠」が決まっている場合、構造を作るのが少し面倒かもしれません。
  • 思考整理ツール:
    テキストをサクサク入力でき、かつ入力した”アイディア”を整理しやすいツールは、SCAMPERと非常に相性が良いです。

SCAMPER法なら「idea Lane」がおすすめ

もしあなたが、PCやスマホを使って効率的にSCAMPER法を行いたいと考えているなら、思考整理ツール「idea Lane(アイディア・レーン)」がおすすめです。

idea Lane では、オズボーンのSCAMPER法をすぐに実践できるテンプレート機能用意しています。

すぐに使えるテンプレート

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なぜ idea Lane なのか?

idea Lane は頭の中のモヤモヤを整理し、構造化することに特化した無料のWebツールです。

  • SCAMPER法のテンプレートですぐに始められる:
    idea Laneには、あらかじめSCAMPER法のテンプレートが用意されています。自分で「S」「C」「A」…と枠を作る必要はありません。ワンクリックで7つの質問項目がセットされたシートが展開され、すぐに中身の検討に入れます。
  • テキスト入力の軽快さ × 図解の分かりやすさ:
    メモのようにキーボードでサクサク入力しながら、必要に応じてツリーにしたり、項目同士を線でつないだりして、視覚的に整理できます。
  • 思考の過程を保存・再利用できる:
    紙のメモと違いデータとして保存されるので、後から検索したり、別の企画に流用したりすることも簡単です。

idea Laneなら、ブラウザを開いてログインするだけで思考環境が整います。
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よくある質問 (FAQ)

Q1. SCAMPERは、アイデア出し初心者でも使えますか?

A. はい、むしろ初心者ほど効果が出やすいフレームワークです。7つの視点が「次に何を考えればいいか」をガイドしてくれるため、「何も思いつかない…」という状態を避けやすくなります。
慣れないうちは、1視点あたり3〜5案を目標にしてみてください。

Q2. 7つすべての視点を毎回やる必要はありますか?

A. 必須ではありません。時間やテーマによっては、「今回はS・C・E・Rの4つだけ」「改善施策なのでEliminateとModifyを重点的に」といった形で、使う視点を絞っても問題ありません。
大事なのは、なぜその視点を選んだのかをチームで共有しておくことです。

Q3. 出したアイデアをどう評価すればよいですか?

A. 迷ったら、インパクト(顧客・売上・体験への影響)×実行容易性(コスト・期間・リスク)でシンプルに評価するのがおすすめです。
短期的な成果が欲しい場合は、「すぐ試せるか」「学びが大きいか」といった観点も追加してみてください。

Q4. オズボーンのチェックリストとの違いは何ですか?

A. オズボーンのチェックリストは、より多くの動詞を列挙したチェックリスト型の発想法です。SCAMPERは、その中核となる視点を7つに整理し、頭文字で覚えやすくしたものと捉えるとイメージしやすいでしょう。どちらも目的は同じですが、SCAMPERの方がコンパクトで、初学者でも使い回しやすいという特徴があります。

Q5. 個人のキャリアや生活設計にも使えますか?

A. 使えます。例えば「現在の働き方」「自分のスキルセット」「日々の時間の使い方」などをテーマにして、Substitute(やる仕事・職場環境を変えたら?)、Eliminate(やめても問題ない習慣は?)、Reverse(優先順位を逆にしたら?)といった視点を当てると、キャリアの選択肢や生活の改善案が見えやすくなります。

まとめ:ひらめき頼みの発想を、再現可能なプロセスに変える

SCAMPER(スキャンパー)法は、既存のアイデアや仕組みに7つの視点を当てることで、新しい発想を引き出すシンプルかつ強力なフレームワークです。

7つの視点は、あなたの脳の普段使っていない回路を刺激し、眠っていた可能性を呼び覚ましてくれます。

  • Substitute(代用)
  • Combine(結合)
  • Adapt(適応)
  • Modify(修正)
  • Put to other uses(転用)
  • Eliminate(削除)
  • Reverse / Rearrange(逆転・再構成)

このリストを手元に置き、日々の仕事や生活の中で意識的に問いかけてみてください。
そして、その思考プロセスを加速させるために、ぜひ「idea Lane」というデジタルツールも活用してみてください。

あなたの素晴らしいアイデアを形にしていきましょう。

参考リンク:
SCAMPER – Wikipedia

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