マーケティング戦略・施策で考えるべきことは多岐に渡りますが、その中でもこんな課題や悩みはありませんか?
- セグメントを分けたはずなのに、施策がぼやける
- ペルソナを作っても「結局誰に刺さるのか」腑に落ちない
- 競合とのポジション比較をエクセルで作るがやりづらい
それらはSTP分析と「アイディア・レーン」の無料テンプレートで解消できるかもしれません。思考を図解化することで、マーケティング戦略の輪郭が⾒える化。しかもブラウザだけでインストール不要ですぐ使えます。
1. STP分析とは?マーケティング戦略の核心フレームワーク
STP分析は Segmentation(市場細分化)→ Targeting(標的市場選定)→ Positioning(差別化・立ち位置)の3段階で顧客像と提供価値を明確化するフレームワークです。
- S:セグメンテーション
年齢・価値観・利用シーンなどで市場を分類。 - T:ターゲティング
収益性・実現可能性を踏まえ「狙うべき層」を決定。 - P:ポジショニング
競合マップ上で自社の差別化ポイントを定義し、メッセージを設計。
STP分析のもとになった考え方は、次の文献で確かめられます。
- 市場細分化
ウェンデル・R・スミスの論文「Product Differentiation and Market Segmentation as Alternative Marketing Strategies」(Journal of Marketing、1956年)が、題名のとおり、市場細分化を製品差別化と並ぶ戦略の選択肢として扱っています。 - ポジショニング
アル・ライズとジャック・トラウトの著書に、ポジショニングを書名にした『Positioning: The Battle for Your Mind』(McGraw-Hill、1981年)があります。 - S→T→Pの順序
フィリップ・コトラーらの教科書『Marketing Management』第16版(Pearson、2021年)では、第6章「Identifying Market Segments and Target Customers(市場セグメントとターゲット顧客の特定)」の次に、第7章「Crafting a Customer Value Proposition and Positioning(顧客価値提案とポジショニング)」が置かれています。
STP分析で得られること:「どの市場で、誰に、どの位置で売るか」を1組で決める
3つは、この順に決めます。ポジショニングは、競合と比べて自社の位置を決める作業です。そのため、比べる相手が決まるまで始められません。
相手はターゲットが代わりに選ぶもので、軸はターゲットが選ぶときに重視する点です。どちらも、ターゲットを決めて初めて決まります。
そのターゲットを「なぜこの層なのか」と説明できるのは、市場をいくつかに分けて検討したあとです。

3つが1組でつながっていると、あとで広告のコピーや価格を決めるときに戻る基準になります。「この打ち手は、選んだターゲットにとって、決めた位置と合っているか」と確かめられるからです。
冒頭に挙げた「施策がぼやける」と感じたときも、3つのうちどれが決まっていないかを確かめるところから始められます。
自分の状況に当てはめるときは、いま扱っている商品やサービスを1つ決めて始めます。どこから始めるかは、事業の段階で変わります。
- 新しく始める事業:市場を分けるところ(S)から順に進めます。
- すでに売っている商品:いま買ってくれている顧客がどのグループにいるかを確かめるところから始めます。狙っていた層と実際に買っている層が違えば、それが見直しの出発点になります。
2. どんな場面で役立つか?
- 新商品ローンチ前に「誰に/何を」届けるかを絞り込む
- 既存サービスのリブランディングでバリュープロポジションを再設計
- スタートアップの投資家向けピッチで市場規模と勝ち筋を論理立てて示す
- BtoB営業資料で“選定理由”をストーリー化 …etc.
3. STP分析3ステップ【S・T・P】
- セグメンテーション
- 変数を洗い出す(デモグラ、サイコグラ、行動、利益など)
- アイディア・レーンでは縦レーンに変数、横レーンに顧客インサイトを配置し発散しやすく。
- ターゲティング
- 評価指標(市場規模、成長性、参入障壁、収益性)をエリア見出しに設定。
- 各セグメントを比較し、優先度を色分け。
- ポジショニング
- 関係線で「競合A→高価格・高機能」「自社→中価格・高UX」を可視化。
- マップ上で空席を発見し、打ち手を付箋感覚で追加。
上の一覧は、アイディア・レーンで進める場合の要点です。ここからは、どの道具を使う場合にも共通する進め方を、ステップごとに説明します。
ステップ1 セグメンテーション:買う理由が違うところで市場を分ける
最初に決めるのは、市場を分ける「切り口」です。切り口の候補は、大きく4種類あります。
- 地理:地域、気候、都市か地方か
- 人口統計:年齢、性別、所得、職業、家族構成
- 心理:価値観、ライフスタイル
- 行動:使う場面、使う頻度、求める効用、いま使っているもの
「3. STP分析3ステップ」の冒頭の一覧にある「デモグラ」は人口統計、「サイコグラ」は心理のことです。
切り口を選ぶ基準は、その切り口で分けると「求めるもの」が変わるかどうかです。年齢で分けても、同じ年代の中で求めるものが違うなら、その切り口だけでは足りません。
行動や心理の切り口を組み合わせて、グループの中で求めるものがそろうまで分けます。
たとえばコーヒー豆を売る場合、年齢で「30代」とまとめると、次のようになります。

分けたら、グループごとに「何を求めていて、いまは何で済ませているか」を書き出してみます。
グループ同士では答えが違い、1つのグループの中では答えがそろっていれば、うまく分けられています。どのグループも似た答えになるなら、切り口を変えて分け直します。
ステップ2 ターゲティング:同じ物差しで比べて、狙う層を決める
グループを分けたら、同じ物差しで比べて、狙う層を選びます。物差しは、たとえば次の4つです。
- 大きさと伸び:そのグループに十分な数の顧客がいて、減っていないか
- 競合の状況:そのグループの求めるものに、すでに強い相手が応えているか
- 自社の強み:自社がそのグループの求めるものに応えられるか
- 届く経路:そのグループに商品を知らせる手段があるか
「3. STP分析3ステップ」の冒頭の一覧にある評価指標のうち、市場規模と成長性は「大きさと伸び」に、参入障壁は「競合の状況」にあたります。収益性を5つ目の物差しとして加えてもかまいません。
比べるときは、グループを横に並べた表にすると、1つずつ見ていたときには気づかない差が見えます。
狙う層は、まず1つに決めます。複数を狙う場合も、どれを優先するかの順番は決めておきます。ポジショニングの比べる相手と軸は、狙う層ごとに変わるからです。
「なぜこの層なのか」と聞かれたときに、選ばなかったグループと比べて答えられるようにしておきます。「市場が大きいから」だけでは、ほかのグループを選ばなかった理由になりません。
ステップ3 ポジショニング:比べる相手と軸を決めて、選ばれる位置を言葉にする
ポジショニングでは、ターゲットの目から見て、自社がどこにいるかを決めます。進め方は3つです。
- 比べる相手を挙げる
ターゲットが自社の代わりに選ぶものを書き出します。同じ業界の会社だけでなく、別の手段や「いまのやり方を続ける」ことも比べる相手に入ります。 - 軸を2つ選ぶ
ステップ1で書いた、ターゲットが「求めるもの」から2つ選び、縦軸と横軸にします。 - マップに置いて、空いている位置を確かめる
比べる相手と自社をマップに置き、空いている位置を探します。
見つかったら、そこにターゲットが求めるものがあるかを確かめます。誰も応えていないのではなく、求める人がいないだけの場合もあるからです。
最後に、決めた位置を次の形の1文にまとめます。
「〔ターゲット〕にとって、〔比べる相手〕と違って、〔差〕を提供する〔商品〕」

この1文が、製品・価格・流通・販促を決めるときの基準になります。
〔比べる相手〕には、「競合」とまとめずに実際の商品名やサービス名を入れます。〔差〕は、マップで空いていた位置と同じことを言っているはずです。
3ステップでよくある失敗
属性だけで市場を分けていないか
「20代女性」のように属性だけで分けると、同じグループの中に求めるものが違う人が混ざります。グループの中で求めるものがばらばらだと、そのグループに向けた施策も1つに定まりません。
グループごとに「求めるもの」が違うかを確かめ、違わなければ行動や心理の切り口を足します。
狙う層を絞りきれていないか
どのグループも捨てられず、全部を少しずつ狙うと、ポジショニングの比べる相手と軸が決まりません。
選ばなかったグループは消さずに残し、優先する順番を付けたうえで、まず1つに絞ります。
ペルソナとターゲットを取り違えていないか
ターゲットはステップ2で選ぶ「層」で、ペルソナはその層を代表する1人の顧客像です。ペルソナから先に作ると、なぜその人物なのかという理由が抜けます。
先にターゲットを選び、その層の代表としてペルソナを描きます。ターゲットとの違いとペルソナの作り方は、ペルソナの作り方と形骸化を防ぐ運用のコツで解説しています。
軸が自社の言いたいことになっていないか
「高品質」「丁寧な対応」は、比べる相手も同じことを言える軸です。ターゲットがそれを理由に選んでいなければ、マップ上で差があっても選ばれる理由になりません。
軸は、ステップ1で書いた「求めるもの」から選び直します。
一度決めたまま見直していないか
競合の動きや顧客の好みが変われば、空いていた位置も埋まります。新しい比べる相手が出てきたときや、施策の結果が想定と違ったときに、マップに戻って置き直します。
3ステップを通した記入例は、「6. 活用シーン別ミニケース」の最後に載せています。
4. アイディア・レーンのSTPテンプレートでできること
| 特長 | 具体的なメリット |
|---|---|
| ✅ レーン構造 | S・T・P 各フェーズがタテヨコに分かれ、書くだけで論理が整理される |
| ✅ 階層化 × リレーション | ペルソナ→課題→解決策をツリー化し、関連を矢印で示せる |
| ✅ 柔軟な拡張 | 右下へキャンバス拡張し、ポジショニングマップや4P分析を追記可能 |
| ✅ 一括共有 & PDF出力 | URL共有/PDFエクスポートで社内外レビューが即完了 |
| ✅ 完全無料で開始 | アカウント作成30秒、クレカ不要 |
関連記事:
・3C分析テンプレートの記事 で外部環境の俯瞰を、
・SWOT分析テンプレートの記事 で内外要因の統合を —— 組み合わせれば戦略の解像度がさらに上がります。
5. 5分でわかる!実践ワークフロー
- テンプレートを複製(ワンクリック)
- セグメンテーションの列にアイディアを書き出す
- ターゲット候補をドラッグして色分け
- ポジショニングマップを右側に追加し、競合を配置
- 重要インサイトに★や太字で強調
- PDF出力→関係者に即共有
6. 活用シーン別ミニケース
新規D2Cブランド開発
- 20–30代男性×エシカル志向をターゲット
- 「低刺激×サステナブル」でポジショニング
→ ランディングページのコピーが一目で決定
BtoB SaaSリニューアル
- セグメント再定義:年商5–30億円の中堅企業
- 競合比較で「UIのわかりやすさ」に白地を発見
→ 操作デモ動画を打ち出し差別化
記入例:架空の焙煎所が、コーヒー豆の定期便を始める場合
ここまでの3ステップを、1つの例で通して書きます。登場する焙煎所とグループは、説明のための架空のものです。
小さな焙煎所が、ネット販売でコーヒー豆の定期便を始めるとします。強みは、少量しか入らない珍しい産地の豆を、少しずつ焙煎できることです。
S:求めるものが違う3つのグループに分ける
| グループ | 求めるもの | いまは何で済ませているか |
|---|---|---|
| A:在宅勤務で、朝の1杯を手早く用意したい人 | 手間がかからず、そこそこおいしい | インスタントやコンビニのコーヒー |
| B:産地や焙煎の違いを飲み比べて楽しみたい人 | まだ飲んだことのない豆と、その豆の背景。探し回る手間は減らしたい | 専門店を巡って豆を買う |
| C:贈り物を探している人 | 見栄えがよく、外さない | 百貨店のギフトセット |
この例では、年齢ではなく求めるもので分けています。同じ年代でも、AとBでは求めるものが違うからです。
T:4つの物差しで比べて、Bを選ぶ
| 物差し | A:手早く用意したい人 | B:飲み比べを楽しみたい人 | C:贈り物を探す人 |
|---|---|---|---|
| 大きさと伸び | 大きい | 小さい | 贈り物の時期に偏る |
| 競合の状況 | 大手の商品が強い | 専門店が店ごとに応えている | 百貨店や大手が強い |
| 自社の強み | 生きにくい | 珍しい豆を少量焙煎できる点が生きる | 包装や見栄えは強みではない |
| 届く経路 | 広く知らせる広告が要る | コーヒー好きが集まるSNSやイベントで知らせられる | 時期ごとの売り場が要る |
Aは大きい市場ですが、自社の強みが生きません。Cは需要が贈り物の時期に偏ります。
Bは小さい市場ですが、少量ずつ焙煎する小さな焙煎所には足りる大きさです。そのうえ、珍しい豆を少量焙煎できるという強みが、そのまま求めるものに応えます。そこで、Bを狙う層に決めます。
P:比べる相手を2つ置き、空いている位置を探す
Bの人が代わりに選ぶのは、「専門店を巡って自分で豆を探す」ことと「大手の豆の定期便」です。軸は、Bの人が求めるものから「豆の珍しさ」と「手に入れる手間」の2つにします。
マップに置くと、次のようになります。

| 比べる相手 | 豆の珍しさ | 手に入れる手間 |
|---|---|---|
| 専門店を巡る | 高い | 大きい(店を回る) |
| 大手の定期便 | 定番の豆が中心 | 小さい(届く) |
| 自社の定期便(狙う位置) | 高い | 小さい(届く) |
「珍しい豆が、手間なく届く」位置が空いていました。
ただし、Bの人の中には、店で豆を探すこと自体を楽しんでいる人もいるかもしれません。その人たちには、手間が減ることは選ぶ理由になりません。
そこで、毎回の豆に産地と焙煎の解説を付けることにします。Sの表に書いた「その豆の背景」に応えるためです。
1文にまとめると、次のようになります。
「産地や焙煎の違いを楽しみたい人にとって、定番の豆が中心の大手の定期便と違って、まだ飲んだことのない産地の豆を解説付きで毎月届ける定期便」
この先は、この1文を基準に、価格(専門店で買う場合と比べてどうか)や販促(解説をどこで見せるか)を決めていきます。
7. テンプレートを今すぐ試す(プレビュー)
8. FAQ
Q. テンプレートの利用は本当に無料?
A. はい。無料プランでも作成・編集・PDF出力まで行えます。
Q. スマホでも編集できますか?
A. 可能です。PC・タブレット・スマートフォンのブラウザで同じURLを開くだけ。
Q. 競合比較マップを二軸で描けますか?
A. エリアを追加してX軸・Y軸ラベルを設定すれば、散布図風の配置も可能です。
Q. STP分析と3C分析・SWOT分析は、どの順でやる?
A. 3C分析とSWOT分析は、STP分析の前に行うと、その材料になります。
3C分析で顧客・競合・自社の事実を集めておくと、グループごとの違いやポジショニングの比べる相手を、事実をもとに書けます。SWOT分析で自社の強みを整理しておくと、ターゲティングで「自社が応えられるか」を判断しやすくなります。
やり方は3C分析の記事とSWOT分析の記事で解説しています。
Q. STP分析のあとは何をする?
A. 決めた「誰に、どの位置で」を、具体的な打ち手に落とします。そのときに使うのが4P分析で、製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販促(Promotion)の4つで考えます。
ポジショニングの1文と合わない打ち手がないかを、4つそれぞれで確かめます。詳しくは4P分析の解説をご覧ください。

9. まとめ|市場で“選ばれる理由”を言語化しよう
STP分析は「どの市場で、誰に、どう差別化するか」を定義するマーケティングの王道。その実行を阻むのは、情報の散在と図解作業の手間です。
アイディア・レーンのテンプレートなら、
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