消費行動モデル・購買ファネル一覧|25フレームワークの違いと使い分け

消費行動モデル イメージ

購買行動モデルや購買ファネルは、新しいものが次々と提唱されています。AIDMAと名前の似たものだけでも、AIDA・AIDCA・AISAS・AISCEASがあり、どこが違うのか分かりにくくなっています。

そこでこの記事では、購買行動モデル(消費行動モデル・消費者行動モデルとも呼びます)と購買ファネルを、合わせて25モデル選び、一覧表にまとめました。
主要11モデルの段階ごとの打ち手と、自分の商材に当てはめる手順も載せています。どれを使うか急いで決めたい方は、まずは最短の選び方からどうぞ。

記事の終わりで、フレームワークのテンプレートを使える無料ツール「idea Lane(アイディア・レーン)」も紹介します。

目次

購買行動モデルとは?消費行動・購買ファネルとの違い

購買行動モデルとは
買い手が商品を知ってから買うまで(モデルによっては人に勧めるまで)の心理と行動を、段階に分けて表したものです。施策が無い段階を見つけたり、段階ごとに見る数字を決めたりするのに使います。

購買ファネルとは
購買行動モデルの各段階に、人数を当てはめたものです。段階が進むほど人数が減ります。

たとえばAIDMAは、注意 → 興味 → 欲求 → 記憶 → 行動の5段階です。段階ごとに自社の施策を並べると、施策が無い段階が見つかります。

購買行動・消費行動・消費者行動の違い

「購買行動モデル」「消費行動モデル」「消費者行動モデル」は、モデルの呼び名としては同じものです。この記事でも区別しません。たとえばAISASは、電通の2011年の発表(SIPSのリリース)では「消費行動モデル」、電通デジタルの2026年の発表(AIJESのリリース)では「購買行動モデル」と呼ばれています。

言葉そのものの意味は、次のように少し違います。

購買ファネルとの違い

モデルは「どんな段階を通るか」を、ファネルは「どこで人数が減るか」を見るために使います(マクロミル)。

まずは最短の選び方(迷ったらここだけ)

  • 広告文・LP(ランディングページ)・営業トークで、伝える順番を決めたい → AIDA
  • 検索して比べてから買う商材(Web・EC) → 比較が長いならAISCEAS、短いならAISAS
  • 買い手が候補の間を行ったり来たりする商材 → 購入後まで含めて考えるならConsumer Decision Journey、購入前の比較検討だけを見るならMessy Middle
  • SNSでの共感や投稿から広がる商材 → 共感や応援で広がるならSIPS、利用者の投稿と検索で広がるならULSSAS
  • SaaS・アプリの改善指標を決めたい → AARRR

「どこがボトルネックか」でモデルを選ぶ

消費行動モデル・購買ファネル 一覧表

No. 分類・タイプ モデル 段階(代表例) 特徴・利用シーン
1
クラシック
説得プロセス
AIDA(アイダ) Attention → Interest → Desire → Action 段階が4つで覚えやすい。広告文・LP・営業トークで、伝える順番を決めるのに使う
2 AIDCA(アイドカ) Attention → Interest → Desire → Conviction(Confidence) → Action AIDMAの「記憶」を「確信」に替えたモデル。買う前に納得が要る高額商品向け
3 AIDCAS(アイドカス) Attention → Interest → Desire → Conviction → Action → Satisfaction 購入後の満足までを含めたモデル。高額商品で、リピートや口コミにもつなげたい場合に使う
4
クラシック
想起・指名
AIDMA(アイドマ) Attention → Interest → Desire → Memory → Action 店頭購入までの「記憶」を重視。テレビCM × 売り場施策で定番
5
クラシック
態度変容
DAGMAR(ダグマー) Awareness → Comprehension → Conviction → Action(など) 広告の目標を、認知・理解・確信などの段階ごとに、測れる形で決める
6 Hierarchy of Effects(効果階層モデル) Awareness → Knowledge → Liking → Preference → Conviction → Purchase 態度変容を段階で捉え、KPIを置きたいとき
7
クラシック
LTV・ロイヤルティ
AMTUL(アムタル) Awareness → Memory → Trial → Usage → Loyalty 試用から利用、愛用までを段階に分け、使い続けてもらう施策を整理する
8
デジタル
検索
AISAS(アイサス) Attention → Interest → Search → Action → Share 買う前の「検索」と買った後の「共有」を入れた、日本発のモデル
9 Dual AISAS(デュアル・アイサス) AISAS(買いたい)
+
A+ISAS(広めたい:Activate + Interest → Share → Accept → Spread)
買う流れとは別に、「買わなくても広める」流れを分けて考える。SNSでの拡散が購入を左右する商材向け
10 AISCEAS(アイセアス) Attention → Interest → Search → Comparison → Examination → Action → Share 比較・検討を細分化してBtoCの耐久財やBtoB商材に対応
11
デジタル
ファネル運用
バイヤージャーニー(Buyer’s Journey) 認識 → 検討 → 決定(Awareness → Consideration → Decision) BtoBなど検討に時間をかける商材で、段階ごとに出すコンテンツを決める
12 TOFU/MOFU/BOFU(トフ/モフ/ボフ) Top → Middle → Bottom of the Funnel 施策やコンテンツを、ファネルの上・中・下のどこ向けかで洗い出す
13
デジタル
運用フレーム
RACE(レース) (Plan) → Reach → Act → Convert → Engage PDCAを回しやすい4段階。Web広告からCRMまで、KPIを一貫して設計できる
14
デジタル
意図別KPI
STDC(Avinash Kaushik)(エスティーディーシー) See → Think → Do → Care 相手を See・Think・Do・Care の4段階に分け、段階ごとにコンテンツ・施策・指標を決める
15
デジタル
接触点
MoT(モット) (Moment of Truth – ZMOT / FMOT / SMOT) ZMOT → FMOT → SMOT 購入前の情報探索〜購買時(初回接触・棚前/商品ページ 等)〜購買後(使用体験)を接点で分解して改善点を見つける
16
ソーシャル
共感・参加
SIPS(シップス) Sympathize → Identify → Participate → Share & Spread SNSで共感から参加、拡散へ進む流れを作る。コミュニティ運営や、利用者の投稿を増やす施策に合う
17
ソーシャル
口コミ・拡散
VISAS(ヴィサス) Viral → Influence → Sympathy → Action → Share SNSの口コミで知り、影響を受け、共感して買い、共有するまでを整理する
18
ソーシャル
UGC運用
ULSSAS(ウルサス) UGC(User Generated Content) → Like → Search1(SNS検索) → Search2(Google/Yahoo!検索) → Action → Spread 利用者の投稿(UGC)が起点。SNSと検索エンジンの2段階の検索を経て買い、投稿がまた広がる
19
ソーシャル
推奨
5A(コトラー)(ファイブエー) Aware → Appeal → Ask → Act → Advocate コトラーらの『Marketing 4.0』のモデル。一直線に進むとは限らない前提で、“推奨される”までを工程として置く
20
ソーシャル
発見・体験
DECAX(デキャックス) Discovery → Engage → Check → Action → eXperience コンテンツマーケティングに対応。コンテンツの発見から、関係作り、確認や注意、行動、体験と共有までを整理する
21
非直線ジャーニー
意思決定ループ
Consumer Decision Journey(コンシューマー・ディシジョン・ジャーニー) Initial consideration → Active evaluation → Closure → Postpurchase(円環で回る) 検討が行ったり来たりする前提で、働きかける場面を探す
22 Messy Middle(メッシー・ミドル) Exploration ⇄ Evaluation(きっかけと購入の間で往復) 探索と評価を何度も行き来する前提で、比較の材料を揃える
23
プロダクト成長
指標(KPI)
AARRR(アー)別名:Pirate Metrics Acquisition → Activation → Retention → Referral → Revenue SaaSやアプリのグロースで定番。Awarenessを最初に加えてAAARRRとするパターンもあり
24
プロダクト成長
循環・習慣
Flywheel(フライホイール) Attract → Engage → Delight(回転を強める/摩擦を減らす) HubSpotが採用して広めた。顧客の紹介が推進力という循環構造が特徴
25 Hooked Model(フックト・モデル) Trigger → Action → Variable Reward → Investment 行動経済学×UX。プロダクト習慣化(例:SNS)の行動設計に用いる

25モデルからおすすめを3つ選ぶなら

最初の1つ、検索して比べる商材、行ったり来たりして決める商材の順に、3つ挙げます。3つ目は、考え方の近い2モデルを1つに数えています。

おすすめ1:AIDA(段階が4つで覚えやすい)

AIDAは段階が4つだけなので、最初に使う1つに向きます。

AIDAの流れ:Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Action(行動)
図:AIDAの流れ。段階ごとの打ち手はAIDAの節へ

AIDMAを1番目にしなかったのは、Memory(記憶)の段階が要るのが、広告を見た日とは別の日に買う商材に限られるからです。
まずAIDAの4段階で考え、商材に合わせて、確信(AIDCA)、確信と満足(AIDCAS)、記憶(AIDMA)の段階を足します。

おすすめ2:AISCEAS(検索のあとの比較・検討が長い商材向き)

WebやECには、検索したあとの比較と検討に時間がかかる商材があります。AISCEASは、比較(Comparison)と検討(Examination)を別の段階として持つので、それぞれに施策を割り当てられます。

AISCEASの流れ:Attention(注意)→ Interest(興味)→ Search(検索)→ Comparison(比較)→ Examination(検討)→ Action(購買)→ Share(情報共有)
図:AISCEASの流れ。段階ごとの打ち手はAISCEASの節へ

AISASには、比較と検討の段階がありません。
比較や検討が短い商材にはAISAS、長い商材にはAISCEASを使います。

おすすめ3:Consumer Decision Journey / Messy Middle(行ったり来たりする買い方に合わせる)

買い手は、段階を順に進むとは限りません。候補を足したり、前の段階に戻ったりしながら決める商材には、この2つが合います。
McKinseyのConsumer Decision Journeyは円環として、GoogleのMessy Middleは探索と評価の往復として、この動きを表しています。

Consumer Decision Journeyの4つの局面:Initial consideration(最初の検討)→ Active evaluation(情報を集めて評価)→ Closure(購入)→ Postpurchase(購入後の体験)が円環で回る。購入後の体験から次の購入へ直接つながるLoyalty loopがある
図:Consumer Decision Journey。局面ごとの打ち手はConsumer Decision Journeyの節へ
Messy Middleの構造:Trigger(きっかけ)とPurchase(購入)の間で、Exploration(探索)とEvaluation(評価)を何度も行き来する。全体をExposure(常に触れている情報)が囲み、購入をExperience(体験)が囲む
図:Messy Middle。局面ごとの打ち手はMessy Middleの節へ

主要11モデルの段階と打ち手

一覧表の25モデルのうち、11モデルを詳しく見ます。選んだのは、購買行動モデルの解説でよく取り上げられる9モデルと、おすすめ3で挙げたConsumer Decision Journey・Messy Middleです。最後に、2026年に発表されたAI時代のモデル、AICASとAIJESも紹介します。

一覧表の分類のうち、クラシック・デジタル・ソーシャル・非直線ジャーニーの4つに沿ってグループに分け、モデルごとに「段階の流れ」「特徴」「向く商材」「打ち手の例」をまとめました。段階の日本語訳は、よく使われる訳にしています。資料によって訳が違い、同じInterestでも「関心」と「興味」の両方があります。

マス広告の時代のモデル(AIDA・AIDMA・AIDCAS)

広告や販売員が、買い手へ一方向に働きかける前提のモデルです。

AIDA(アイダ)

AIDAの流れ:Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Action(行動)
図:AIDA。伝える順番を4段階で決める

購買行動モデルの中で最も古典的とされています(クロス・マーケティング)。「1898年にE. St. Elmo Lewisが考案した」という説明が広く知られています。一方、2024年の研究は、それを示す「証拠は存在しない」とし、創始者はArthur Frederick Sheldonとみなせると結論づけています(岩本明憲「AIDAモデルの起源」)。

段階は4つだけです。広告文・LP・営業トークのように、1つの文章や1回の説明の中で「何をどの順に伝えるか」を決めるときに使えます。

段階買い手の状態と打ち手
Attention
(注意)
状態:まだ商品を知らない
打ち手:見出しや画像で目を止める
Interest
(関心)
状態:自分に関係があると感じる
打ち手:相手の困りごとから書き出す
Desire
(欲求)
状態:欲しいと思う
打ち手:使った後の変化を具体的に見せる
Action
(行動)
状態:買う・申し込む
打ち手:申込みボタンを1つに絞り、手順を短くする

AIDMA(アイドマ)

AIDMAの流れ:Attention(注意)→ Interest(興味)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)
図:AIDMA。買う前に「記憶」の段階がある

起源は1920年代にさかのぼるとされます(マクロミル)。販売員に勧められているときや、店頭で商品を買おうとするときの心理を、段階で表したモデルです(コトバンク「AIDMA」)。AIDAと違うのは、欲しいと思ってから買うまでの間に、Memory(記憶)の段階があることです。

テレビCMや交通広告で知ってもらい、後日、店頭や指名検索(商品名での検索)を経て買ってもらう商材に向きます。

段階買い手の状態と打ち手
Attention
(注意)
状態:商品を知らない
打ち手:テレビCM、交通広告
Interest
(興味)
状態:気になり始める
打ち手:特徴を1つに絞って伝える
Desire
(欲求)
状態:欲しいと思う
打ち手:利用場面や比較で良さを示す
Memory
(記憶)
状態:覚えているが、まだ買っていない
打ち手:同じ名前・色・フレーズを繰り返す
Action
(行動)
状態:店頭で買う、または商品名で検索して買う
打ち手:売り場の表示、商品名で検索した人がたどり着くページ

AIDMAの詳しい使い方は「AIDMA(アイドマ)モデルとは?」で解説しています。テンプレートも同じページにあります。

AIDCAS(アイドカス)

AIDCASの流れ:Attention(注意)→ Interest(興味)→ Desire(欲求)→ Conviction(確信)→ Action(行動)→ Satisfaction(満足)
図:AIDCAS。買う前に「確信」、買った後に「満足」がある

AIDMAの「記憶」を「確信」に替えたものがAIDCAです(コトバンク「アイドマの法則」)。AIDCASは、AIDCAの並びの最後に、購入後のSatisfaction(満足)が付いたものです。

自動車や住宅のような高額商品に向きます(クロス・マーケティング)。買う前に「確信」してもらう施策と、買った後に「満足」してもらう施策を、並べて考えられます。

段階買い手の状態と打ち手
Attention
(注意)
状態:商品を知らない
打ち手:広告、展示場、紹介
Interest
(興味)
状態:気になり始める
打ち手:カタログや資料を渡す
Desire
(欲求)
状態:欲しいと思う
打ち手:試乗、見学
Conviction
(確信)
状態:「これで間違いない」と納得する
打ち手:購入者の事例、保証、第三者の評価
Action
(行動)
状態:契約する
打ち手:見積もりと手続きを分かりやすくする
Satisfaction
(満足)
状態:買ってよかったと感じる
打ち手:引き渡し後のフォロー、購入者の声を集める

検索の時代のモデル(AISAS・AISCEAS)

買い手が自分で調べ、自分で発信するようになった時代のモデルです。

AISAS(アイサス)

AISASの流れ:Attention(注意)→ Interest(興味)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有)。Share(共有)からSearch(検索)へ戻る
図:AISAS。買う前に「検索」、買った後に「共有」があり、共有から検索へ戻る

2004年に電通が提唱したモデルです(電通報)。AIDMAと違い、Search(検索)とShare(共有)という、買い手が自分から動く段階が入っています。電通の図では、ShareからSearchへ戻る矢印も描かれています。

検索して口コミを確かめてから買う、WebやECの商材に向きます。比べる候補が多く検討が長い商材には、次のAISCEASのほうが合います。

段階買い手の状態と打ち手
Attention
(注意)
状態:商品を知らない
打ち手:広告、SNS、記事での露出
Interest
(興味)
状態:気になり始める
打ち手:特徴が一目で分かるページ
Search
(検索)
状態:検索して調べる
打ち手:検索で見つかる解説記事、口コミが集まるレビュー欄
Action
(行動)
状態:買う
打ち手:購入までの手順を短くする
Share
(共有)
状態:感想を投稿する
打ち手:購入後にレビューを依頼する

AISASの詳しい使い方は「AISAS(アイサス)とは?」で解説しています。テンプレートも同じページにあります。

AISCEAS(アイセアス)

AISCEASの流れ:Attention(注意)→ Interest(興味)→ Search(検索)→ Comparison(比較)→ Examination(検討)→ Action(購買)→ Share(情報共有)
図:AISCEAS。検索のあとに「比較」と「検討」がある

2005年に、アンヴィコミュニケーションズの望野氏が雑誌「宣伝会議」で発表したモデルです(アンヴィコミュニケーションズ)。インターネットの普及でAIDMAが時代に合わなくなった、という問題意識から作られました。

AISASと比べると、検索のあとにComparison(比較)とExamination(検討)の2段階が入っています。比較サイトや口コミで複数の候補を並べ、比べてから決める商材に向きます。

「アイシーズ」とも読まれますが、提唱元は「アイセアス」としています。

段階買い手の状態と打ち手
Attention
(注意)
状態:商品を知らない
打ち手:比較サイトやランキング記事に載る
Interest
(興味)
状態:候補の1つとして気になる
打ち手:他社と違う特徴を1つ示す
Search
(検索)
状態:商品名や分野名で調べる
打ち手:検索で見つかる解説記事
Comparison
(比較)
状態:他社と比べる
打ち手:比較表、他社との違いのページ
Examination
(検討)
状態:自分に合うか確かめる
打ち手:料金の試算、無料体験、よくある質問
Action
(購買)
状態:買う
打ち手:比較表で見た料金・条件のまま申し込めるページ
Share
(情報共有)
状態:感想を投稿する
打ち手:決め手になった点をレビューに書いてもらう

SNSの時代のモデル(SIPS・VISAS・DECAX・ULSSAS)

SNSやコンテンツを通じて、買い手どうしの共感や投稿が広がる前提のモデルです。

SIPS(シップス)

SIPSの流れ:Sympathize(共感する)→ Identify(確認する)→ Participate(参加する)→ Share & Spread(共有・拡散する)。共有・拡散が次の共感を生み、循環する
図:SIPS。「共感」から始まり、拡散が次の共感を生む

電通の「サトナオ・オープン・ラボ」が2011年1月に発表した、ソーシャルメディア対応のモデルです(電通ニュースリリース)。Participate(参加する)には、購入だけでなく、コミュニティへの参加や、SNSで知人に教えるといった、購入を伴わない行動も含まれます。共有・拡散された情報は、さらに次の共感を生みます。

共感や応援が購入につながる商材に向きます。ファンづくりやコミュニティ運営を伴う施策を整理できます。

段階買い手の状態と打ち手
Sympathize
(共感する)
状態:投稿や発信に共感する
打ち手:企業の姿勢が伝わる発信、共感される投稿
Identify
(確認する)
状態:自分に有益な情報か確かめる
打ち手:口コミ、利用者の声、公式の情報を揃える
Participate
(参加する)
状態:コミュニティへの参加、SNSでの紹介、購入などで関わる
打ち手:気軽に参加できる企画、少額から試せる入口
Share & Spread
(共有・
拡散する)
状態:友人・知人へ共有し、つながりの中で広まる
打ち手:共有したくなる体験、共有しやすいボタン

VISAS(ヴィサス)

VISASの流れ:Viral(口コミ)→ Influence(影響)→ Sympathy(共感)→ Action(行動)→ Share(共有)
図:VISAS。「口コミ」から始まる

Viral(口コミ)・Influence(影響)・Sympathy(共感)・Action(行動)・Share(共有)の5段階です(東芝テック)。SNSの口コミで商品を知り、影響を受け、共感して買う流れを表しています。

口コミがそのまま購入の後押しになる商材に向きます。このあと紹介するULSSASと違い、買う前に検索する段階がありません。

段階買い手の状態と打ち手
Viral
(口コミ)
状態:SNSで口コミを見かける
打ち手:話題になる企画、人に話したくなる商品体験
Influence
(影響)
状態:口コミから影響を受け、気になり始める
打ち手:利用者や専門家に実際に使ってもらう
Sympathy
(共感)
状態:自分にも当てはまると感じる
打ち手:利用者の実感が伝わる投稿を紹介する
Action
(行動)
状態:買う・試す
打ち手:投稿から購入ページへ迷わず進める
Share
(共有)
状態:自分も感想を投稿する
打ち手:ハッシュタグを決めて投稿を呼びかける

DECAX(デキャックス)

DECAXの流れ:Discovery(発見)→ Engage(関係作り)→ Check(確認や注意)→ Action(行動)→ eXperience(体験と共有)。eXperienceのあとDiscoveryへ戻る
図:DECAX。コンテンツの「発見」から始まり、体験のあと発見へ戻る

電通デジタル・ホールディングス シンガポール支社の内藤氏がまとめたモデルで、2015年に電通報で紹介されました(電通報)。コンテンツマーケティングを前提にしており、買い手がコンテンツを見つけるDiscovery(発見)から始まります。流れはXで終わらず、Dへ戻って繰り返す形で描かれています(電通報の前編の図)。

記事や動画などのコンテンツで見込み客を集める商材に向きます。

段階買い手の状態と打ち手
Discovery
(発見)
状態:役立つ記事や動画を見つける
打ち手:悩みに答える記事や動画を作る
Engage
(関係作り)
状態:繰り返し読み、信頼し始める
打ち手:メール、SNS、連載で接点を保つ
Check
(確認や注意)
状態:商品や会社を確かめる
打ち手:事例、料金、会社情報を分かりやすく置く
Action
(行動)
状態:買う・問い合わせる
打ち手:申込みや問い合わせの入口を示す
eXperience
(体験と共有)
状態:使った体験を共有する
打ち手:活用法の発信、利用者の声の紹介

ULSSAS(ウルサス)

ULSSASの流れ:UGC(ユーザー投稿コンテンツ)→ Like(いいね)→ Search1(SNS検索)→ Search2(Google/Yahoo!検索)→ Action(購買)→ Spread(拡散)。拡散のあと、また「いいね」へ戻って回る
図:ULSSAS。UGCから始まり、検索が2段階あり、拡散のあとまた「いいね」へ戻って回る

ホットリンクが2019年から提唱している、SNS時代の購買行動モデルです(ホットリンク、同社のリリース)。特徴は3つあります。1つ目は、最初の段階がUGC(ユーザー投稿コンテンツ)であること。2つ目は、検索がSNSと検索エンジンの2段階に分かれていること。3つ目は、拡散された投稿にまた「いいね」が付き、流れが回り続けることです。提唱元は、ファネルではなく「フライホイール(弾み車)」の構造だと説明しています。

利用者が写真や感想を投稿しやすい商材に向きます。

段階買い手の状態と打ち手
UGC
(ユーザー投稿
コンテンツ)
状態:利用者の投稿を見かける
打ち手:写真を撮りたくなる見た目や体験を用意する
Like
(いいね)
状態:投稿に「いいね」する
打ち手:一目で良さが伝わる写真や動画を公式からも出す
Search1
(SNS検索)
状態:SNSで商品名を検索する
打ち手:商品名で探せる投稿を増やす、公式アカウントを整える
Search2
(Google/
Yahoo!検索)
状態:検索エンジンで調べる
打ち手:商品名で検索した人がたどり着く公式ページ
Action
(購買)
状態:買う
打ち手:SNSや検索から購入ページへ直接進める
Spread
(拡散)
状態:買った人が投稿し、次の人に届く
打ち手:利用者の投稿を公式アカウントで紹介する

行ったり来たりする買い方を捉えるモデル(Consumer Decision Journey・Messy Middle)

買い手が、候補を増やしたり前の段階に戻ったりしながら決める前提のモデルです。

Consumer Decision Journey(コンシューマー・ディシジョン・ジャーニー)

Consumer Decision Journeyの4つの局面:Initial consideration(最初の検討)→ Active evaluation(情報を集めて評価)→ Closure(購入)→ Postpurchase(購入後の体験)が円環で回る。購入後の体験から次の購入へ直接つながるLoyalty loopがある
図:Consumer Decision Journey。4つの局面を円環で回る

McKinseyが2009年に発表したモデルです(McKinsey)。商品の選択肢とデジタルの接点が増え、ファネルではすべての接点を捉えきれなくなった、というのが出発点です。意思決定を4つの局面で描いています。購入後の体験が、同じ分野で次に買うときの判断に影響するため、流れは輪になっています。McKinseyの図には、購入後の体験から次の購入へ直接つながる近道(Loyalty loop)も描かれています。

調べている途中で、候補が増えたり減ったりする商材に向きます。元になったMcKinseyの調査は、自動車・スキンケア・保険・家電・携帯通信の5分野を対象にしています。

局面買い手の状態と打ち手
Initial consideration
(最初の検討)
状態:思い浮かぶブランドを候補にする
打ち手:普段から名前を覚えてもらう広告や発信
Active evaluation
(情報を集めて
評価)
状態:調べながら候補を足したり外したりする
打ち手:比較記事、口コミ、検索での露出
Closure
(購入)
状態:店頭や購入ページで決める
打ち手:価格・在庫・特典をその場で確かめられるようにする
Postpurchase
(購入後の体験)
状態:使ってみて評価が固まる
打ち手:使い始めの案内、サポート、利用者の声

Messy Middle(メッシー・ミドル)

Messy Middleの構造:Trigger(きっかけ)とPurchase(購入)の間で、Exploration(探索)とEvaluation(評価)を何度も行き来する。全体をExposure(常に触れている情報)が囲み、購入をExperience(体験)が囲む
図:Messy Middle。購入までに、探索と評価を行き来する

2020年7月に、Googleの消費者インサイトチームが発表した考え方です(Think with Google)。きっかけと購入の間にある複雑な領域を「Messy Middle」と呼びます。買い手はそこで、選択肢を広げる「探索」と、絞り込む「評価」を、決めるまで何度も行き来します。Googleの図では、この全体を「Exposure(常に触れている情報)」が囲み、購入のあとに「Experience(体験)」が続きます。

比較サイト・口コミ・動画などを行き来して決める商材に向きます。買い手が通る順番を1本に決められなくても、「探索」と「評価」の2つに分けて施策を整理できます。

購入後まで含めて考えるならConsumer Decision Journey、購入前の比較検討だけを詳しく見るならMessy Middleが合います。

局面買い手の状態と打ち手
Trigger
(きっかけ)
状態:買う必要や興味が生まれる
打ち手:季節や買い替えなど、きっかけになる時期に合わせて発信する
Exploration
(探索)
状態:検索や比較サイトで候補を増やす
打ち手:検索結果・比較サイト・動画など、探している人が見る場所に情報を置く
Evaluation
(評価)
状態:口コミや条件を見比べて候補を減らす
打ち手:比較の材料、口コミ、保証を示す
Purchase
(購入)
状態:決めて買う
打ち手:価格・送料・返品条件を明記した購入ページ

AIの時代の新しいモデル(AICAS・AIJES)

買い手が生成AIに相談し、その答えを参考に選ぶようになった時代のモデルです。

AICAS(アイカス)

AICASの流れ:Ask(相談)→ Interest(興味)→ Confirm, Check(確認)→ Action(購買)→ Share(共有)。共有した情報が、AIのおすすめの材料にもなる
図:AICAS。生成AIへの相談から始まり、共有した情報がAIのおすすめの材料にもなる

2026年4月に、日経BPのマーケティング専門メディア「日経クロストレンド」が発表したモデルです(日経BPのプレスリリース)。AISASから一歩進め、生成AI時代の買い方に合わせたものとされています。

相談(Ask)・興味(Interest)・確認(Confirm, Check)・購買(Action)・共有(Share)の5段階で構成されます。AIDMAやAISASは注意(Attention)から始まりますが、AICASは生成AIへの相談(Ask)から始まります。選択肢が多すぎて選べない買い手が、「おすすめを教えて」とAIに聞くところから買い物が始まる、という考え方です。

中心になるのは「確認」の段階です。発表のもとになった調査では、生成AIの提案を受けたあと、約9割の人が検索エンジンや口コミサイト、SNSなど別の場所でも調べていました。AIのおすすめをそのまま信じるのではなく、確かめてから買っています。

候補が多く、買い手が自分だけでは選びきれない商材に向きます。AIに候補として挙げてもらう打ち手と、確かめられたときに選ばれる打ち手の、両方が要ります。

段階買い手の状態と打ち手
Ask
(相談)
状態:何を買うか決まっていないまま、生成AIにおすすめを聞く
打ち手:商品の特徴と、どんな人に向くかを、比べやすい形でWebに載せておく
Interest
(興味)
状態:AIが挙げた3〜4つの候補のうち、気になったものに目を留める
打ち手:ほかの候補との違いを一言で言える特徴を決めておく
Confirm, Check
(確認)
状態:AIのおすすめを、検索エンジンや口コミサイト、公式サイトで確かめる
打ち手:公式サイトと口コミで、判断に要る情報をそろえておく
Action
(購買)
状態:確かめて納得したら買う
打ち手:購入までの手順を短くする
Share
(共有)
状態:レビューや口コミを書く。その情報は、ほかの買い手だけでなく生成AIのおすすめの材料にもなる
打ち手:購入後にレビューを依頼する

AIJES(アイジェス)

AIJESの流れ:Archive(蓄積)→ Interaction(問答)→ Judgment(判断)→ Engagement(参加)→ Score(評価)。評価のあと蓄積へ戻って循環する
図:AIJES。5つのステップを進み、評価のあと蓄積へ戻って循環する

2026年9月に、国内電通グループの4社(電通デジタル、電通、電通総研、電通マクロミルインサイト)が提唱した、AI時代の購買行動モデルです(電通デジタルのニュースリリース)。これまでは検索エンジンやSNSで調べるのが主流でしたが、AIに問いを立て、その回答を参考に決める場面が増えています。この変化を受けて作られました。

蓄積(Archive)・問答(Interaction)・判断(Judgment)・参加(Engagement)・評価(Score)の5つのステップで構成されます。人とAIが協働しながらこれらを進み、それが循環する点が特徴とされています。

AISASを発展させたモデルで、発表資料の図では、AISASの5段階の下に、AIJESの5つのステップが1つずつ並べて示されています。最終的に決めるのは人間です。AIJESは、その人間の「判断」(直感も含む)に着目しています。判断の質を高めるには、ニーズがはっきりする前からの情報の蓄積や、ニーズがはっきりしたあともAIだけに頼らず幅広く情報を集めることも重要だとされています。

提唱元は、AISASとAIJESがしばらく並走することも想定しています。

購買行動モデルを自分の商材に当てはめる手順

ここでは、モデルを使って手薄な段階(施策が無い段階や、人数が大きく減る段階)を見つける手順を紹介します。モデルの段階ごとに、自分の商材で「いま何をしているか」を書き出します。

  1. モデルを1つ選ぶ。迷ったら、この記事の「まずは最短の選び方」から商材に近いものを選びます。
  2. 段階ごとに3つ書き出す。「買い手の状態」「いまの施策」「見る数字」です。
  3. 施策が無い段階に印を付ける。数字が取れているなら、前の段階から大きく減っている段階にも印を付けます。
  4. 印を付けた段階から1つ選び、打ち手を1つ決める。印が複数あるときは、流れの手前にある段階から始めます。手前で止まった人は、後ろの段階まで進まないためです。

記入例:オンライン英会話スクールをAISASで整理する

説明用に作った架空の例です。比較に時間をかける商材にはAISCEASのほうが合いますが、ここでは段階の少ないAISASで手順を示します。

段階書き出した内容
Attention
(注意)
買い手の状態:英会話を始めたいが、このスクールを知らない
いまの施策:SNS広告
見る数字:広告の表示回数
Interest
(興味)
買い手の状態:広告を見て気になる
いまの施策:紹介ページ
見る数字:ページの閲覧数
Search
(検索)
買い手の状態:「オンライン英会話 比較」で調べる
いまの施策:(施策なし)
見る数字:検索での表示回数
Action
(行動)
買い手の状態:無料体験に申し込む
いまの施策:申込みフォーム
見る数字:申込み数
Share
(共有)
買い手の状態:感想をSNSに書く
いまの施策:(施策なし)
見る数字:口コミの件数

この例では、SearchとShareの段階に施策がありません。調べた人は比較記事で他社しか見つけられず、体験した人の声も増えません。

先に手を打つのは、流れの手前にあるSearchです。打ち手は「他社との比較ページを作る」の1つに絞ります。調べた人が、このスクールを候補に入れられるようになります。

AISASで整理するときは、「AISAS(アイサス)とは?」のページにあるテンプレートが使えます。

書き出した内容を、あとから直しやすくするには

フレームワークを使った分析・検討は、紙やExcelでもできます。

ただ、書き出したあとで直そうとすると、次の2点でつまずきます。

  1. 紙は、一度書くと書き直しにくい
  2. Excelの表は、「この施策はどの段階の課題のためか」という関係を書き込みにくい

この2点を解消できるツールが「アイディア・レーン」です。

アイディア・レーンでできること

書き出した内容の1つ1つ(アイディア・レーンでは「アイディア」と呼びます)を、次のように扱えます。

  • 書いたアイディアをあとから移動でき、階層やグループも組み替えられる
  • アイディアをワンタッチで階層化でき、親子のつながりが線で表示される
  • リレーション(関係線)を引けるので、「この施策はこの段階の課題のため」という関係を書き込める
  • アイディア同士をグルーピングして意味単位でまとめられる
  • ズームイン・ズームアウトが自由で、全体と詳細を行き来しながら思考できる
画面例

無料で、ブラウザだけで使えます(インストール不要)。
AIDMA・AISASなどのテンプレートも用意しています。

1分で完了 👉 無料テンプレートでフレームワークを使いこなす(ユーザ登録)

よくある質問

最新の購買行動モデルは?

新しいものでは、2026年9月に国内電通グループの4社が、AI時代の購買行動モデル「AIJES(アイジェス)」を提唱しました。蓄積(Archive)・問答(Interaction)・判断(Judgment)・参加(Engagement)・評価(Score)の5つで構成されます。AISASを発展させたモデルとされています(電通デジタルのニュースリリース)。

同じ2026年の4月には、日経クロストレンドが「AICAS(アイカス)」を発表しています。相談(Ask)・興味(Interest)・確認(Confirm, Check)・購買(Action)・共有(Share)の5段階で、生成AIへの相談から買い物が始まる点が特徴です(日経BPのプレスリリース)。AICASとAIJESは、「AIの時代の新しいモデル」で紹介しています。

その前に出たものには、GoogleのMessy Middle(2020年)と、ホットリンクのULSSAS(2019年〜)があります。

AIDMAとAISASの違いは?

AIDMAには、欲しいと思ってから買うまでの間にMemory(記憶)があります。AISASには、買う前のSearch(検索)と、買った後のShare(共有)があります。

広告を見て後日店頭で買う商材ならAIDMA、検索して口コミを確かめてから買う商材ならAISASが合います。

BtoBに合うモデルは?

当てはめやすいのは、一覧表のバイヤージャーニー(認識 → 検討 → 決定)と、AISCEASです。BtoBは比較や検討に時間をかけることが多く、どちらも検討の段階を持つためです。

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