- 優先順位がつけられないのは、比べる基準が決まっていないことが多い
- 決め方は書き出す→軸を2つ決める→マスに置く→順番を決める→日に割り振るの5ステップ
- 全部が大事に見えるときは「1つだけやるならどれか」で比べ直す
やることが多すぎて、どれから手をつければいいか決められない。考えているうちに時間だけが過ぎて、結局目の前の返信から片づけてしまう。そんなことはないでしょうか。
優先順位は、頭の中で考え続けても決まりにくいものです。やることを外に書き出し、同じ物差しで並べると、どれから手をつけるかが見えるようになります。
この記事では、仕事のやることを書き出して2つの軸で並べ、着手の順番を決めるまでの手順を紹介します。1週間で12件たまった仕事を例に、実際に並べた図も載せています。紙やエクセルでもそのまま実行できます。
優先順位がつけられないのは、比べる基準が決まっていないから
頭の中で優先順位を考えると、そのたびに違う基準で比べてしまいます。締切が近いか、上司に頼まれたか、気が重いか。基準が毎回変わるので、考え直すたびに順番も変わります。
決められないときに起きていることは、だいたい次のどれかです。
| こんな状態 | 起きていること |
|---|---|
| 全部が大事に見える | 「大事かどうか」という1つの基準だけで見ている |
| 考えるたびに順番が変わる | 比べる基準が、その都度入れ替わっている |
| 軽いものから片づけて、重い仕事が残る | 「すぐ終わるか」だけで選んでいる |
先に「何で比べるか」を2つ決めて、すべてのやることを同じ物差しに乗せる。これが、優先順位を決める近道です。
手順1 やることを全部書き出す
やることは、外に書き出して初めて比べられるようになります。まずは全部を書き出します。何件あるかが分かるだけでも、「多すぎて手に負えない」という感覚が少し和らぐことがあります。
書き出すときのコツは4つです。
- 1行に1つ、動作で書く。「企画書」ではなく「企画書のたたき台の目次をつくる」のように、何をすれば終わるかが分かる形にします。
- 仕事のまとまりごとに寄せる。「展示会」「月次レポート」のように見出しを立て、その下に並べると抜けに気づきやすくなります。
- 締切があるものには印を付ける。赤字にする、日付を書き添えるなど、見て分かる形で十分です。
- この段階では順番を考えない。書きながら比べ始めると、また頭の中の比較に戻ってしまいます。
下の図は、思考整理ツール idea Lane のキャンバスで作った例です。社内で企画や販促を担当している人の1週間を想定し、たまっていた12件を書き出しました。同じことは紙やエクセルでもできます。
ほかの職種の方は、営業なら提案書づくりや商談の準備、事務なら請求処理や資料の整理のように、自分の仕事に置き換えて読んでください。

※ この記事の図は、タップまたはクリックすると拡大できます。
手順2 比べる軸を2つ決める
次に、やることを比べる物差しを2つ決めます。仕事でまず試してほしいのは、インパクトと工数の組み合わせです。
| 軸 | 見ること |
|---|---|
| インパクト | やり終えたときに、成果や周りの仕事がどれだけ前に進むか |
| 工数(手間) | 終えるまでに、どれだけの時間と手間がかかるか |
高いか低いかで迷ったら、次の問いで考えます。
- インパクト: やらなかったら、誰がどれくらい困るか。終わると、ほかの仕事が進むか
- 工数: まとまった時間を取らないと終わらないか。途中で人に確認を取る必要があるか
軸を1つだけにすると、ほとんどのやることが「大事」か「すぐ終わる」のどちらかに寄ってしまい、差がつきません。2つの軸を組み合わせると、「効き目が大きいのにすぐ終わるもの」「手間のわりに効き目が小さいもの」のように、やることの性格が分かれて見えてきます。
それぞれの軸は、高・中・低の3段階で十分です。書き出した他のやることと比べて、相対的に大きいか小さいかで判断します。
よく知られた組み合わせに、緊急度 × 重要度もあります。どちらを使うかは、いま困っていることで選びます。
| 軸の組み合わせ | 向いているとき |
|---|---|
| インパクト × 工数 | 今週どれから手をつけるかを決めたい |
| 緊急度 × 重要度 | 締切に追われて、大事な仕事がいつも後回しになっている |
この記事でインパクト × 工数を使い、締切を軸にしないのは、締切が近いものほど「インパクトが高い」と感じてしまい、軸の判断が締切に引っ張られるからです。締切は手順1で付けた印として別に持っておき、順番を決める段階で確認します。
自分の仕事に合わせて別の軸を作りたい場合は、マトリクス表の作り方の記事で、比べる観点(軸)の立て方と、軸が決まらないときの3つの直し方を解説しています。
手順3 表のマスに置いて並べる
2つの軸で、3×3の9マスの表を作ります。横にインパクト(左が低く右が高い)、縦に工数(上が大きく下が小さい)を置くと、右下が「効き目が大きいのにすぐ終わる」マスになります。ほかの記事で見かける緊急度 × 重要度の図とは、最優先のマスの位置が違うことがあります。
書き出したやることを、1件ずつマスに置いていきます。迷ったものは真ん中のマスに置いて、先へ進んでかまいません。全部置き終わってから見直すほうが、1件ずつ悩むより早く終わります。

置いてみると、書き出しただけのときには見えなかったことが分かります。
- 締切のある2件は、どちらも右下に入った。今日のうちに片づけられる
- ずっと気になっていた「共有フォルダの整理」は、手間が大きいわりに効き目が小さい左上に入った
- 月次レポート(売上と問い合わせ件数を集計して所感を書く)は効き目が大きいが重い。まとまった時間を確保する必要がある
置いた場所に違和感があれば、動かしてかまいません。「このマスは違う気がする」と感じた理由が、そのやることを見直すきっかけになります。
やることを動かしながら並べたいとき
思考整理ツールidea Lane では、書き出したやることをマスからマスへ動かして並べ直せます。置き場所を変えても、全体の中でどこにあるかがひと目で分かります。
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手順4 着手の順番を決める
マスに並んだら、次の順で手をつけます。
| 順番 | マス | 扱い方 | 例 |
|---|---|---|---|
| 1 | インパクト高 × 工数小 | 今日すぐ片づける | 出展申込フォームを出す、見積もりを返信する |
| 2 | インパクト高 × 工数中・大 | 時間を確保して取り組む | 企画書の目次、問い合わせへの回答、月次レポート |
| 3 | インパクト中 × 工数小 | すき間の時間にまとめて片づける | 経費精算、SNS投稿の予約 |
| 4 | インパクト低 × 工数大 | 今週はやらないと決める | 共有フォルダの整理 |
表にないマスのうち、チラシの原稿、競合の料金調べ、マニュアルの見直しは2と3の合間に入れます。社内アンケートのように効き目も手間も小さいものは、3のあとで片づけます。
このとき、手順1で印を付けた締切を確認します。締切のあるものは、どのマスにあっても期限の前に入れます。今回の例では締切のある2件がどちらも右下に入りましたが、締切があるのに工数が大きいものは、ほかより先に着手日を決めておきます。
「月次レポート」のように重いものは、そのままでは手をつけにくいので、「数値を集計する」「所感を書く」のように小さく分けます。分けたものは、もう一度マスに置き直してかまいません。
「やらない」と決めたものも、消さずに残しておきます。消してしまうと、来週また思い出して同じ迷いを繰り返すことになります。
手順5 今日・今週・今月に割り振る
順番が決まったら、最後にいつやるかを割り振ります。「今日」「今週」「今月」の3つの枠を作り、順番の高いものから入れていきます。
今回の例なら、次のようになります。
| いつ | やること |
|---|---|
| 今日 | 出展申込フォームを出す、見積もりを返信する、問い合わせ2件に回答する |
| 今週 | 企画書の目次をつくる、チラシの原稿を書く、競合3社の料金を調べる、経費精算、SNS投稿の予約、社内アンケートへの回答 |
| 今月 | 月次レポート、新人向けマニュアルの見直し |
| 来週また見直す | 共有フォルダの整理 |
問い合わせへの回答は順番2のマスですが、お客さまを待たせているので今日に入れました。反対に、月次レポートは順番2でも月末に出せば間に合うので、今月に回しています。新人向けマニュアルの見直しも、次に新人が入るのは来月なので、今月中に終われば間に合います。締切や相手の事情で前後させるものは、このように割り振りの段階で調整します。今週やらないと決めたものは、「来週また見直す」に置いておきます。
「今日」に入れるのは、今日のうちに終えられる数だけにします。入りきらないものは、順番の高いものを残して「今週」へ回します。
3分整理法のテンプレート
idea Lane の「3分整理法」は、仕事・家・勉強 × 今日・今週・今月 のマスがそろったテンプレートです。記入例を見たうえで、そのまま自分用に作成できます。
それでも決められないとき
手順どおりに進めても、途中で手が止まることがあります。よくある5つの場面と、抜け方を紹介します。
ほとんどが「インパクト高」に入ってしまうとき
全部が大事に見えているときは、「この中から今週1つだけやるなら、どれか」と問い直します。1つ選んだら、次に「残りから1つだけなら」と続けます。選んだ順に、上位の3分の1だけを「高」に残すと、差がつきやすくなります。
ほかの人から頼まれた仕事が重なっているとき
頼まれた仕事どうしの順番を、自分だけで決めようとすると行き詰まります。並べた表をそのまま依頼した人に見せて、「この順で進めてよいか」を相談します。マスに並んだ全体が見えていると、「それならこちらは来週でいい」といった返事をもらいやすくなります。
どのマスに置くかで迷って進まないとき
1件で長く迷うときは、そのやることの中身がまだはっきりしていないことが多いです。「何をすれば終わるか」を1行で書き直してから置き直します。それでも決まらなければ真ん中に置き、全部を置き終えてから戻ってきます。
書き出したら30件を超えたとき
件数が多すぎると、並べる作業そのものが重くなります。まず仕事のまとまりごとに分け、今週に関係するまとまりだけを並べます。残りのまとまりは、来週あらためて並べれば十分です。
途中で急な仕事が割り込んできたとき
並べ直すのは、割り込んできた仕事だけで十分です。その仕事が9マスのどこに入るかを考えます。右下に入るか、今日が期限なら、今日の枠に入れ、代わりに今日の枠で順番のいちばん低いものを明日以降へ回します。期限に余裕があれば、今週か今月の枠に入れて、今日の予定はそのままにします。
まとめ
優先順位がつけられないときは、たいてい比べる基準が決まっていません。基準を2つ決めて並べれば、どこから手をつけるかが見えてきます。
- やることは全部書き出す。1行に1つ、何をすれば終わるかが分かる形で
- 比べる軸を2つ決める。仕事ではインパクト × 工数から試す
- 9マスに置き、右下(インパクト高・工数小)から手をつける
- 最後に今日・今週・今月へ割り振る
決めた順番で進めても実行が続かないときは、タスク管理が続かない5つのパターンもあわせて読んでみてください。
まずは今抱えているやることを、紙に全部書き出すところから始めてみてください。並べてみると、思っていたより迷う必要のなかったものが見つかるはずです。
自分のやることで並べてみる
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